虫歯でもないのに歯の痛みを感じた経験はありませんか?
実は、その歯の痛み、ストレスが原因かもしれません。
ストレスは体だけでなく口内環境にも影響を与え、免疫力の低下や唾液の減少、無意識の歯ぎしり・食いしばりを引き起こし、歯の痛みや違和感を生じさせます。
さらに、ストレス性の歯痛は鎮痛剤が効きにくく、原因不明と診断されることも少なくありません。
本記事では、ストレスが歯に与える影響や痛みの特徴、そして日常生活でできる対処法を解説します。
目次
ストレスが歯の痛みを引き起こすことはある?
ストレスが原因で歯が痛くなることは十分にあり得ます。
歯の痛みといえば虫歯や歯周病を思い浮かべがちですが、ストレスが蓄積されることで体にさまざまな不調が現れ、歯にも影響を及ぼします。とくに、ストレスによって免疫力が低下すると口内環境が悪化し、歯茎が腫れるなど炎症が起きやすくなるでしょう。
また、無意識のうちに歯を食いしばったり、歯ぎしりをしたりしてしまうことも。
さらに、ストレスは唾液の分泌を減少させるため、虫歯や歯周病のリスクを高める要因になるといわれています。
なぜストレスによって歯が痛むのか
ストレスは体だけでなく、歯にも大きな影響を与えることがあります。おもな原因は下記の3つです。
- 免疫力が低下しているから
- 無意識のうちに歯を食いしばっているから
- 唾液の量が少なくなるから
ここでは、ストレスが歯に与える原因の詳細を見ていきましょう。
免疫力が低下しているから
ストレスが続くと、自律神経のバランスが崩れ、体の免疫力が低下します。
免疫力が落ちると、口内の細菌に対する抵抗力が弱まり、歯茎の腫れや炎症を引き起こしやすくなります。とくに、普段は症状が出ない軽度の歯周病が悪化し、痛みや出血を伴うことも。
また、口内炎ができやすくなったり、虫歯が進行しやすくなったりするのも免疫力低下の影響です。
ストレスを感じやすい人や、疲れが溜まりやすい人は、歯茎の腫れや痛みに悩まされることが少なくありません。
無意識のうちに歯を食いしばっているから
ストレスを感じると、日中や睡眠中に無意識に歯ぎしりや食いしばりをしてしまうことがあります。このような歯ぎしりは「ブラキシズム」と呼ばれ、歯に大きな負担をかける習慣です。
強い力が長時間かかると、歯のエナメル質が削れ、知覚過敏や歯のひび割れを引き起こすでしょう。
さらに、歯を支える「歯根膜」にもダメージを与え、炎症や慢性的な痛みの原因になります。
とくに朝起きたときに顎の疲れや歯の痛みを感じる場合は、無意識の歯ぎしりかもしれません。
唾液の量が少なくなるから
ストレスがかかると、交感神経が活発になり、唾液の分泌が減少します。唾液には口内の自浄作用や殺菌作用があり、口内環境を清潔に保つ重要な役割を果たしています。
しかし、ストレスで唾液量が減ると、細菌の繁殖が進み、虫歯や歯周病が進行しやすくなるのです。
さらに、口の中が乾燥することで粘膜が傷つきやすくなり、炎症や痛みを引き起こす原因にもなるでしょう。
ストレス以外に考えられる歯の痛み
ストレスが原因で歯が痛むことはありますが、必ずしもストレスだけが原因とは限りません。歯の痛みは、下記3つも考えられます。
- 虫歯や歯周病の悪化
- 上顎洞炎の発症
- 慢性的な頭痛や肩こり
ここでは、ストレス以外で考えられる歯の痛みの原因を探っていきましょう。
虫歯や歯周病の悪化
虫歯や歯周病は、歯の痛みのもっとも一般的な原因です。
虫歯が進行すると、歯の神経にまで達し、ズキズキとした鋭い痛みを引き起こします。
また、歯周病が進行すると歯茎が腫れ、歯が浮いたような感覚や痛みが生じるでしょう。
初期段階では自覚症状が少なく、気づかないうちに進行してしまうことも少なくありません。
上顎洞炎の発症
上顎洞炎は、副鼻腔炎の一種で、鼻の奥の空洞が細菌やウイルスによって炎症を起こす病気です。とくに、上顎の奥歯は上顎洞に近いため、炎症が広がると歯の痛みとして感じられることがあります。
鼻づまりや頭痛、顔面の圧迫感などの症状が伴うことが多く、耳鼻科での診察が必要です。
慢性的な頭痛や肩こり
慢性的な頭痛や肩こりも、歯の痛みにつながることがあります。
筋肉の緊張や血行不良が続くと、顎周りや顔の筋肉にも影響を与え、歯の痛みとして現れます。
とくに、パソコン作業が多い人やスマホを長時間使用する人は、首や肩の筋肉が硬直しやすく、関連痛として歯が痛む場合もあるでしょう。
ストレスによる歯の痛みの特徴
ストレスが原因の歯の痛みには、いくつか特徴的な症状があります。これらの症状は、通常の虫歯や歯周病とは異なるケースも多く、なかなか原因が特定されないことも少なくありません。
- 歯茎が腫れる
- 歯が浮いたように感じる
- 夕方に痛みが増す
- 鎮痛剤が効かない
- 原因不明と診断される
ここでは、ストレスによる歯痛の上記の特徴を見ていきましょう。
特徴①歯茎が腫れる
ストレスによって免疫力が低下すると、口内の細菌が繁殖しやすくなり、歯茎に炎症が起こります。その結果、歯茎の赤い腫れやブラッシング時の出血が起こりやすくなることがあります。
さらに、進行すると歯周病の悪化にもつながり、歯茎の腫れが慢性化することも。
ストレス性の腫れは、リラックス時には改善されることがありますが、ストレスが続くと繰り返すでしょう。
特徴②歯が浮いたように感じる
ストレスが原因で歯が浮いたような違和感を覚えることがあります。歯周組織が炎症を起こして腫れることで、歯がしっかりと支えられていない感覚になるためです。
とくに、噛むときに違和感が増し、食事がしづらいと感じることも。
歯ぎしりや食いしばりが原因で歯根膜にダメージが加わり、炎症を起こしている可能性もあります。
特徴③夕方に痛みが増す
ストレス性の歯痛は、日中の疲れやストレスの蓄積によって夕方になると痛みが強くなる傾向があります。
朝は比較的症状が軽いものの、仕事や家事などで心身の負担がかかるにつれて、歯の痛みが増すことが多いです。疲労がたまることで血行が悪くなり、炎症が悪化するためです。
特徴④鎮痛剤が効かない
通常の虫歯や炎症であれば鎮痛剤で痛みが和らぐことが多いですが、ストレスが原因の歯痛は鎮痛剤が効きにくいという特徴があります。
ストレス性の歯痛は、物理的な原因ではなく心理的・神経的な影響が大きいため、痛みのメカニズムが異なるのです。
特徴⑤原因不明と診断される
歯科医院でレントゲンを撮っても虫歯や歯周病が確認できず、「原因不明」と診断されることがあります。
ストレス性の歯痛は、目に見える異常がなくても痛みが生じる「非定型歯痛」と呼ばれることも。原因が分からないことがさらにストレスとなり、痛みが悪化するケースも少なくありません。
ストレスによる歯の痛みが気になるときの対処法
ストレスが原因で歯が痛む場合、痛みを和らげるためには、ストレス自体のコントロールが重要です。
ここでは、具体的な対処法を紹介します。
好きなことをしてストレスを発散する
ストレスを発散することは、ストレス性の歯の痛みを軽減するもっとも効果的な方法です。
ストレスが蓄積すると、無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりをしてしまい、歯や歯茎に負担がかかります。
しかし、趣味や運動、リラクゼーションなどでストレスを発散することにより、心身がリラックスし、無意識の緊張がほぐれるでしょう。
たとえば、音楽を聴いたり映画を観たり、軽い運動やヨガを取り入れるだけでも大きな効果が期待できます。
定期的に歯医者でメンテナンスを受ける
歯科医院での定期的なメンテナンスは、ストレスによる歯の痛みを予防・軽減するために欠かせません。
ストレスで免疫力が低下すると、口内環境が悪化しやすくなりますが、歯科医院でのクリーニングや検診を受けることで、虫歯や歯周病のリスクを減らせます。
また、歯ぎしりや食いしばりが原因の場合、歯科医師がマウスピースを作成してくれるため、歯への負担を軽減できるでしょう。
忙しい日々の中でも、3〜6ヶ月に一度は歯科医院でチェックを受け、痛みを感じる前の予防を心がけましょう。
歯が痛い原因はストレスかも?健康な歯を守るために
ストレスは免疫力の低下や唾液の減少、無意識の歯ぎしりなどを引き起こし、歯が痛くなる原因となります。虫歯や歯周病とは異なり、歯が痛い症状でも鎮痛剤が効きにくく、原因不明と診断されることも多いのが特徴です。
さくら歯科では、患者さんの不安解消にこだわった上での無痛治療を提供しています。「歯が痛いけど虫歯じゃない」とお悩みの方には、ストレス由来の歯の痛みも含めて丁寧に診断し、マウスピースの作成や口内環境の改善など、一人ひとりに合わせた対応をいたします。歯が痛くて辛い時は、ぜひさくら歯科にご相談ください。