歯が痛いときに考えられる原因は?すぐにできる対処法と予防法
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スムーズに食べ物を噛むためにも、歯の健康は意識的に維持するようにしましょう。歯のケアを怠ると、突然歯の痛みや知らないうちに虫歯・歯周病を広げてしまうリスクがあります。

この記事では、歯痛がする原因について虫歯と知覚過敏の違い、心臓を含む疾患による痛みについて紹介しています。虫歯以外の歯の痛みを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

歯痛がする原因とは

歯の痛みというと虫歯を想像しますが、特に歯に問題がなくても知覚過敏などの構造上の問題で痛みが走ることがあります。ここからは歯の痛みの原因について詳しくみていきましょう。

 

歯の構造から痛みを理解する

人間の歯は、硬い組織であるエナメル質が中心部分の歯髄・象牙質を覆っています。白く見えるものはエナメル質であり、ここが虫歯菌の酸によって溶かされると、徐々に象牙質から歯髄へと進行し、組織全体が溶けてしまうと痛みすらも感じなくなってしまいます。

エナメル質に痛みはありませんが、第2層の象牙質は直径が0.8〜2.2マイクロメートルほどの細い管である「象牙細管」が第3層の歯髄にかけて通っており、象牙質が虫歯菌などの影響で何らかの異常を感知すると、刺激が歯髄に伝わって痛みを知覚できる仕組みになっています。

う蝕(虫歯)・冷たいもの・ブラッシング・噛み合わせによる刺激で歯が痛むのは、象牙質がしっかりと刺激をキャッチしている状態なのです。

 

歯の痛みの原因

歯の痛みの原因は、第一に虫歯(中期〜神経が破壊されていない段階まで)が挙げられますが、知覚過敏や歯の損傷も原因のひとつに考えられています。それぞれの原因について、詳しく内容を確認していきましょう。

 

虫歯

虫歯(う蝕)は、虫歯菌の活動によって歯の表面から内部までが徐々に溶かされ、菌が侵食している状態です。お口の中に発生する細菌による疾患で、しっかりとケアを続けなければ虫歯がどんどん進行し、侵食が進んだ箇所を中心に痛みを感じるようになります。

【関連記事】虫歯が痛い時の応急処置と注意すべきやってはいけない行動

 

知覚過敏

知覚過敏は「象牙質知覚過敏」とも呼ばれ、エナメル質が傷ついてしまった場合に象牙質が外に現れ、外からの刺激が伝わりやすくなっています。フッ素などでエナメル質を強化しながら、虫歯が発生・進行しないように注意が必要です。

 

知覚過敏と虫歯の違い

知覚過敏と虫歯の違いは、歯の色に変化があるかないか・部分的な欠けや凹みがないかどうかといった見た目の違いのほかに、歯がしみる時間が持続するか否かにも違いがみられます。10秒前後の持続にとどまる知覚過敏とは反対に、虫歯の痛みは数分からそれ以上続く場合があります

【関連記事】冷たい水がしみる原因は知覚過敏?虫歯や歯周病との違いと予防方法

 

歯の損傷による痛みや炎症

事故や噛み締め、歯の治療後にもろくなっていて欠けてしまうなどのトラブルで、歯の破損箇所に刺激が伝わると、知覚過敏のような痛みが起きてきます。歯の欠け・割れから細菌が入り込むと内部に炎症が起きるため、ズキズキとした痛みを感じるようになります。

 

歯ぐきの痛みの原因

歯ぐきは歯を支える重要な組織ですが、ここにもさまざまな原因によって痛みが現れる場合があります。代表的な「歯周病」と、その他の原因となる親知らずの存在について詳しくみていきましょう。

 

歯周病

歯周病は、口の中にいる細菌が歯ぐきに感染し、歯ぐきとその奥の骨までも破壊していく炎症性・感染性の疾患です。日本人の中高年層の多くが歯周病を患っているといわれていますが、自力でケアをすることも可能です。

歯周病にかかると歯ぐきの腫れ・痛み・出血・歯周ポケットが現れ、さらにケアを怠ると細菌が歯周組織をゆっくりと破壊していき、歯のぐらつきやがたつきが出てきて、歯を支える力がなくなってしまうため、やがて歯が脱落してしまいます。

 

親知らず

親知らずは歯列の一番奥に存在する大臼歯です。あごの骨の大きさ、顔の輪郭によって親知らずの生え方には個人差があり、歯ぐきに埋まったまま上に出てこないものも少なくありません。

まだ表に出ていない親知らずとその周辺は無防備な状態です。放置していると歯肉が炎症を起こし「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」に注意が必要ですが、生えてこようとして親知らずが動くと虫歯や歯周病とは違ったズキズキ感が出たり、圧迫感を感じやすくなったりします。

 

歯以外に原因がある(非歯原性歯痛)

歯以外に痛みの原因がある場合、その痛みは非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)と呼ばれます。筋膜や神経障害、心臓といった重要な臓器に由来している痛みもあり、全身の健康に注意しなければなりません

歯以外の原因として考えられる「筋膜性歯痛」や「神経障害性歯痛」などを詳しくみていきましょう。

 

筋膜性歯痛

筋膜性歯痛は、首から顔にかけての筋肉が疲労すると筋肉に「トリガーポイント」が生じ、そこから痛みが伝わって歯や顎周りに痛みを感じるようになります。首や肩の慢性的なコリとともに重たくうずくような痛みがある場合は、筋膜性歯痛が疑われます。

 

神経障害性歯痛

神経障害性歯痛は、神経痛の一種であり歯そのものに原因はありません。末梢神経や中枢神経が何らかの原因で障害を受けた場合に、発作性または持続性の歯痛となります。たとえば帯状疱疹に罹患し、疱疹が首や顔周りに現れた際に、神経が障害されて痛みが歯に現れるケースが考えられます。

 

神経血管性歯痛

神経血管性歯痛は、偏頭痛(片頭痛)や群発頭痛といった血管性のトラブルを原因とする歯の痛みです。突発的に激痛が走るケースと、じわじわ・じりじりとした痛みが延々と続くケースに分けられます。

 

心臓性歯痛

心臓性歯痛は、心筋の内部を走る冠状動脈が詰まりを起こして発生する心筋梗塞などを原因とする歯の痛みです。胸にも痛みや閉塞感を感じ、息苦しさをともなう場合が多いため、既往症の有無にかかわらずすぐに心臓の専門医を受診してください。

 

上顎洞性歯痛

上顎洞性歯痛(じょうがくどうせいしつう)は、上顎のさらに奥に存在する空間(上顎洞)に細菌などが侵入し、炎症を起こして痛みを感じる疾患です。歯のトラブル以外に副鼻腔炎を疑う必要があり、耳鼻咽喉科での診察が必要になります。

 

精神疾患による歯痛

精神疾患による歯痛は、重いうつ病や統合失調症などの疾患によって痛みを知覚するケースです。歯と歯ぐきに問題がなければ、精神科での診察・治療が必要です。

 

特発性歯痛

突発性歯痛は、原因がよくわからず歯にも歯ぐきにも問題がない場合の歯痛です。体の歪みや偏頭痛の影響など、あらゆる疾患やトラブルを視野に入れて考える必要があります。時間の経過をみながら痛みの推移をチェックし、必要に応じて医療機関を受診してください。

 

歯痛がするときの対処法

歯痛を起こしたときは、まず医療機関を受診するようにしましょう。痛みがある部分の状態、腫れや炎症の有無、痛みの種類を確認してから病院へ。ここからは応急処置を含めた対処法を紹介します。

 

医療機関を受診する

歯痛の原因は虫歯だけではないため、放置せず早めに医療機関を受診しましょう。「知覚過敏と思っていたら虫歯だった」というように、予想とは異なる原因が隠れている可能性もあります。

 

セルフケアでできること

虫歯や歯周病予防はもちろん、歯痛にもセルフケアが大切です。痛みが現れたときに痛みを緩和する働きが期待できる方法と、やってはいけないことを確認しましょう。

 

痛み止めを飲む

市販の鎮痛剤は歯痛にも力を発揮してくれます。体質に合うものを事前にチェックしておき、歯が痛むタイミングで服用しましょう。ただし重度の痛みにはあまり効かない可能性がありますので、あくまでも軽い痛みのときに服用しましょう。

 

患部を冷やす

歯が痛い、または歯ぐきが痛いときは患部を冷やしましょう。特に熱や炎症があるときには氷や保冷剤をくるんだ布を上から当てることをおすすめします(ただし、非歯原性歯痛のように、冷やすだけではまったく効果の得られない痛みもあります)。

ただし氷を口に含むなどして患部を直接冷やすのは逆効果です。虫歯のように、象牙質が露出し侵食が進んでいる場合には、冷たいものによる刺激がダイレクトに象牙質から歯髄へと伝わってしまうため、痛みが増大するおそれがあります。

【関連記事】虫歯が痛いときは冷やすと良いのはなぜ?正しい冷やし方と応急処置法

 

歯痛に効くとされるツボ

歯の痛みをやわらげるとされているツボを押す方法もあります。承漿(しょうしょう)というツボは、下唇のすぐ下から顎にかけてのライン上、もっともくぼんだ部分に存在しています。上下の歯を噛み合わせた状態で承漿を親指で強めに3秒程度押し、それを5回ほど繰り返してください。

合谷(ごうこく)は顔以外の歯痛緩和する働きが期待できるツボで、手の甲側の親指と人差指の交差する地点に存在しています。ここを親指で強めに押したり揉んだりします。

 

やってはいけないこと

歯痛が起きたときは、さらに痛みが悪化する可能性があるため、以下の行動に注意してください。

 

患部を刺激する

痛い部分をさらに強く刺激しないように注意しましょう。痛みが止まるのではないかと、強い力でブラッシングをしたり圧迫をかけたりしても、原因にアプローチできなければほとんど緩和作用はみられません。

 

飲酒

お酒に含まれるアルコールは、血行を促進する働きをもっています。血管内に流れていく血液の量が増えて血管が膨らむため、並走する神経を圧迫して、痛みを増長させるおそれがあります。

 

入浴、運動

入浴や運動もアルコールと同じように、全身の血液の流れを促進します。血管が膨らんで隣り合う神経を圧迫すると、痛みがさらに増してズキズキ感が持続するおそれがあります。

 

歯痛の予防法

歯痛を予防するためには、毎日の食生活から見直す必要があります。特に歯みがきの習慣や歯科検診の頻度を振り返ってみて、不足している部分を補う必要があります。ここからは、歯痛を予防するためにできる予防方法を確認していきましょう。

 

食事・生活習慣の見直し

知覚過敏の方は冷たいものを口にすると歯が痛みやすいため、常温に近い温度に温めるか、氷を直接口にしないようにしましょう。ものを噛むと痛みが走る場合は、柔らかく消化がしやすいもの(咀嚼の際に力がかかりすぎないもの)を選ぶと良いでしょう。

 

虫歯になりやすい食べ物、飲み物は避ける

虫歯菌は糖質を好み、糖質を消化して虫歯の原因となる酸を吐き出します。炭水化物や糖分をよく摂取する方は、少し量を減らしてみてください。虫歯菌にえさを与えないだけで、虫歯のリスクを抑えられます。

【関連記事】虫歯になりやすい飲み物・食べ物と食生活から虫歯を予防する方法

 

就寝30分前は飲食を控える

就寝中は最低でも4時間以上のまとまった時間が無防備になり、虫歯菌を洗い流してくれるだ液も出にくくなります。寝る前は口の中を糖質の含まれていない飲み物で軽く潤すのみにとどめ、就寝の30分前には歯みがきやフロス、マウスウォッシュを使ってデンタルケアを終えましょう。

 

歯ブラシ・歯磨き粉を見直す

使用中の歯ブラシが使いづらい、奥まで届きづらい場合は小回りのきくヘッドへ、硬すぎて歯ぐきを傷つける場合はやわらかめのものに変更しましょう。

ブラッシングに自信がない方は電動歯ブラシを組み合わせたり、使いやすいフロスや歯間ブラシも用意したりしておくと、奥に入り込んで取れない汚れの掻き出しに役立ちます。歯を強化してくれる「フッ素」や殺菌成分が配合されている歯みがき粉に変更するか、MIペーストを併用する方法もおすすめです。

【関連記事】虫歯は歯磨き粉で予防できる!予防効果の高い選び方の4つのポイント

 

歯医者で定期健診を受診する

虫歯になっているかどうかを目視のまま確認することはできません。特に初期段階の、まだ黒ずみが現れていない虫歯は肉眼では発見が困難なものも多く、反対に深い部分まで進行してしまった重度の虫歯も、歯の内部でトラブルを起こしているために確認がしづらくなっています。

定期検診ではレントゲン撮影やマイクロスコープを使って細かい部分まで汚れを見極め、クリーニングやホワイトニングと組み合わせて治療を行っています。理想的な検診の間隔は、1ヶ月から2ヶ月に1回の割合です。

 

セルフケアと定期検診で歯の痛みを予防

この記事では、歯痛を起こすさまざまな原因について紹介しました。歯と歯ぐきのトラブル、非歯原性歯痛や精神的な疾患でも歯の痛みを感じるケースがあり、普段から健康をチェックして痛みの原因を突き止めるようにしましょう。

原因のわからない歯痛は詳細な検査が必要ですが、過去のケガや歯の治療の影響で歯痛が起きる場合もあります。不明点はかかりつけの歯科クリニックを受診し、検査を受けるようにしてください。

食べものや生活習慣の見直しも、歯痛予防には大切です。痛みを引き起こしやすい刺激物や硬いものは控え、痛みのない歯で噛む工夫を行いましょう。ブラッシングや歯痛改善の作用がある歯みがき粉や歯ブラシはクリニックに相談することをおすすめします。

明大前駅のさくら歯科では、虫歯の一般治療、歯科検診からインプラント、口腔外科まで幅広い治療を行っております。

患者様1人1人に真剣に向き合い、来院して良かったと思われるよう日々治療に励んでいます。

また、駅から徒歩1分という立地と、急な歯の痛みによる当日アポも承っておりますので、明大前駅の歯医者ならさくら歯科へご連絡ください。

コラム監修者

監修者の写真

横山弘継

役職 理事長

略歴

  • 1995年 明海大学歯学部 卒業
  • 1995年~井上歯科医院 勤務
  • キヌタ歯科医院 勤務
  • 1999年 さくら歯科 開業

実績

20年前からインプラント治療に着目。
現在地方からインプラント治療で通院の患者様も多く年間多くのインプラント治療を行っています。
10年程前から審美治療にも着目しセラミック矯正など審美治療にも力をいれている。