歯周病は、初期段階では自覚症状がなく、気づいたときには進行していることも少なくありません。少しの違和感が「初期症状」のサインになることもあるため、見逃さないことが大切です。
本記事では、歯周病の初期症状や対処法、放置するリスクを解説します。歯ぐきの変化や口臭が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
歯周病のおもな初期症状
歯周病の初期段階では、痛みがないことが多く、自分では気づきにくいものです。代表的な初期症状は、下記のとおりです。
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 歯磨きで血が出る
- 歯ぐきがむずがゆい・違和感がある
- 口臭が気になる
- 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなる
これらの症状に心当たりがある方は、早めに対処しましょう。
歯ぐきが赤く腫れている
健康な歯ぐきは、ピンク色で引き締まっています。しかし、歯周病の初期には赤く腫れてぷっくりとした見た目になります。これは、細菌によって炎症が起き、血流が増加している状態です。
歯と歯の間にある三角地帯がふくらみ、普段とは違う形状に気づくこともあるでしょう。鏡で歯ぐきの色や形を確認する習慣をつけると、小さな変化にも気づきやすくなります。
痛みを感じなくても、色が以前より赤っぽかったり、全体的に腫れぼったいと感じたりしたら、歯周病の初期症状の可能性があります。痛みがないため見過ごされがちですが、このような腫れは立派な初期症状です。
歯磨きで血が出る
強くこすっていないにも関わらず出血する場合は、歯周病の初期症状と考えられます。炎症によって毛細血管が拡張し、少しの刺激でも出血しやすくなっている状態です。とくに歯ぐきが赤く腫れている部分は、出血しやすい傾向があります。
初期段階では痛みを感じにくいため、つい見過ごしてしまうことも多いですが、継続的に出血がある場合は注意が必要です。歯磨きの際に血がつく頻度が高い方や特定の箇所から毎回出血する方は、なるべく早めに歯科を受診しましょう。
歯ぐきがむずがゆい・違和感がある
歯ぐきにかゆみやムズムズするような違和感を覚えるのは、分かりやすい痛みではないため、気に留めずに過ごしてしまう方も少なくありません。しかし、これも歯ぐきの炎症が原因で起こるサインの1つです。
時には、歯が少し浮いたような感覚を伴うこともあります。腫れや出血ほど明確な症状ではなくても、以前とは違う歯ぐきの感覚に気づいたら、歯周病がはじまっている可能性があるため注意が必要です。
自分の口の中の変化に注意を払い、このような微妙な違和感も見逃さないようにしましょう。
口臭が気になる
歯周病の原因菌は、口腔内で悪臭成分(メチルメルカプタンなど)を発生させるため、進行とともにニオイも強くなります。そのため、口臭が以前より気になるようになったら、歯周病のサインかもしれません。
とくに、朝起きたときや会話中に口臭が気になる方は要注意です。口臭は自分で気づきにくいのも特徴で、家族やパートナーに指摘されて気づくケースもあります。
気になったタイミングで歯科医院を受診し、口腔内の状態を確認してもらいましょう。
歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなる
最近、食べ物が歯の間に詰まりやすくなったと感じている方は、歯周病によって歯ぐきが下がり、隙間ができている可能性があります。歯周病が進行すると、歯と歯ぐきの間にある歯周ポケットが深くなり、食べかすやプラークが溜まりやすくなります。
この状態を放置すると細菌の繁殖につながり、歯ぐきの腫れや出血、炎症が悪化する原因にもなるため注意が必要です。毎回同じ場所に食べ物が詰まる、歯間の掃除がしにくくなったと感じる場合は、セルフケアだけでなく、早めに歯科医院でのチェックを受けましょう。
歯周病の初期症状に気づいたときの対処法
歯ぐきの腫れや出血、口臭などの初期症状に気づいたら、すぐに行動することが大切です。初期症状に気づいたときの対処法は、下記のとおりです。
- 歯科医院を受診する
- セルフケアを見直す
詳しく解説します。
歯科医院を受診する
初期の段階であれば、比較的軽い処置で改善が見込めます。そのため、歯周病の初期症状に気づいたら、早めに歯科医院を受診しましょう。
歯科医院では、専用の器具を使って歯垢や歯石を徹底的に除去してもらえるほか、歯周ポケットの深さや出血の有無なども正確に診断してもらえます。また、正しい歯磨き方法やケアのアドバイスも受けられるため、自宅での予防効果も高まります。
セルフケアを見直す
歯磨きは、歯ブラシを歯と歯ぐきの境目に斜め45度で当て、やさしく磨くのが基本です。歯間ブラシやデンタルフロスを併用すれば、歯と歯の間のプラークも除去できます。
また、抗菌作用のあるマウスウォッシュを取り入れると、口腔内の細菌を減らす効果が期待できます。このように日々のケアの質をあげることで、歯周病の悪化を食い止め、健康な歯ぐきを維持しやすくなるでしょう。
初期症状を放置するとどうなる?歯周病が進行した場合のリスク
歯周病の初期症状は軽度な違和感にとどまることが多く、つい見過ごしてしまいがちです。しかし、そのまま放置すると、下記のリスクが生じやすくなります。
- 炎症が広がり、歯を支える骨(歯槽骨)が破壊される
- 口臭が強くなる
- 最悪の場合、抜歯が必要になる
- 糖尿病や心疾患など全身の健康にも影響を及ぼす
詳しく見ていきましょう。
関連記事>>歯周病が手遅れになるとどうなる?重度症状のチェックから治療・予防まで
炎症が広がり、歯を支える骨(歯槽骨)が破壊される
歯周病が進行すると、炎症が歯ぐきの奥にまで広がり、やがて歯を支える顎の骨「歯槽骨」が破壊されはじめます。歯がぐらついたり、噛みにくくなったりする症状が現れます。
歯槽骨が失われると、元に戻すことは困難であり、進行を止めるには専門的な治療が必要です。歯の寿命を守るためには、骨の減少が進む前に対処しなければなりません。
口臭が強くなる
歯周病が進行すると、歯周ポケットに溜まったプラークや歯石、細菌の代謝によって強い悪臭を伴うガスが発生します。このガスが口臭の原因となり、他人にも気づかれるほどの不快なニオイになることも。
膿や出血を伴うようになると口臭は強くなり、日常生活や人間関係にも影響を与える可能性があります。口臭が気になるときは、歯周病の進行を疑いましょう。
最悪の場合、抜歯が必要になる
歯周病の末期では、歯を支える骨が大きく損なわれ、歯のぐらつきが激しくなります。支えを失った歯は噛む力に耐えられず、日常生活にも支障をきたします。
このような状態になると、歯を残すのが困難になり、最終的に抜歯せざるを得ないケースも少なくありません。抜歯後にはインプラントや入れ歯といった補綴治療が必要となり、経済的・時間的な負担も大きくなります。
糖尿病や心疾患など全身の健康にも影響を及ぼす
歯周病は口腔内だけの問題にとどまらず、全身疾患とも深く関わっています。進行した歯周病では、歯ぐきの血管から歯周病菌が体内に侵入し、血流に乗って全身を巡ることがあります。
歯周病が進行すると、下記のリスクが高まるため、注意が必要です。
- 糖尿病の悪化
- 心筋梗塞や脳梗塞
- 動脈硬化
さらに、高齢者では誤嚥性肺炎の原因になることもあり、命に関わるケースもあります。口の健康維持は全身の健康維持にもつながるという認識を持つことが大切です。
自宅でできる歯周病予防
歯周病は、日々のセルフケアで予防できる病気です。
まずは、正しい歯磨きを習慣づけましょう。歯ブラシはやわらかめのものを選び、歯と歯ぐきの境目をやさしく丁寧に磨くのがコツです。デンタルフロスや歯間ブラシを使えば、歯と歯の間の汚れも効果的に除去できます。
また、ビタミンCやカルシウムを含む食事で歯ぐきを内側からサポートするのも効果的です。喫煙は歯に悪影響を及ぼす可能性があるため、喫煙習慣がある方は禁煙を心がけてください。
自宅でのケアに加えて、歯科医院での定期的なチェックとプロのメンテナンスも忘れずに行いましょう。
歯周病の初期サインを見逃さず、早めの対処で健康な歯ぐきを守ろう
歯周病は、初期のうちに気づいて対応すれば、進行を食い止めることが可能です。正しいセルフケアに加えて、定期的な歯科検診を習慣化することで、トラブルの早期発見・早期治療につながります。
「さくら歯科」では、痛みの少ない治療と丁寧なカウンセリングで患者様の不安を取り除き、無理なく通える環境を整えています。歯医者が苦手な方も安心して通える歯科医院ですので、気軽にご相談ください。