歯周病は初期段階では自覚症状がなく、症状が進行して手遅れになる可能性があります。症状によっては抜歯が必要なケースもあるため、早めの対策が欠かせません。
本記事では歯周病が手遅れになったらどうなるのか、症状や治療法を交えて解説します。重症化して手遅れにならないためにも、ぜひ最後までご覧ください。
目次
歯周病が手遅れになると現れる症状
歯周病が手遅れになると現れる症状は、おもに以下の4つです。
- 歯がぐらつく
- 噛むと痛みを感じる
- 口臭が悪化する
- 歯茎から膿が出る
それぞれ詳しく解説します。
歯がぐらつく
食事中に歯が動き噛みにくいと感じたら、歯周病がかなり進行している可能性があります。
歯がグラグラして噛みにくくなる原因は、歯周病で歯を支える骨が溶け不安定になっているためです。上下にぐらつく場合は、下の骨が半分以上溶けているかもしれません。
歯科医院でレントゲン検査すれば、歯や骨の状態を詳しく確認できます。放置すると歯を失うこともあるため、早めに歯科医院を受診しましょう。
噛むと痛みを感じる
虫歯でないのに噛むと痛みを感じる場合は、歯周病の可能性があります。歯周病で歯を支える骨が脆くなると、噛むときに痛みを感じることがあるためです。
ただし見た目や痛みだけでは、虫歯と歯周病の区別は難しいでしょう。歯茎が腫れていたり歯磨き時に出血を伴う場合は、歯周病の可能性があります。
痛みが出る段階である程度症状が進行しているため、早急に歯科医院で詳しく検査しましょう。
口臭が悪化する
口臭が悪化するのも、歯周病が進行すると現れる症状の1つです。歯周病が進行すると、歯周ポケットに歯垢や歯石が溜まりやすくなります。
歯周ポケットで歯周病菌が増殖すると、メチルメルカプタンや硫化水素などの悪臭を放つガスが発生します。そのため、口臭も強くなるのです。
歯磨きしても口臭が気になる場合は、早めに歯科医に相談しましょう。
歯茎から膿が出る
歯茎から膿が出ている場合、歯周病の症状が悪化している可能性があります。歯周病菌が歯と歯茎の間の隙間(歯周ポケット)に増殖し、炎症により膿が出ているためです。
膿が溜まると歯茎が腫れ、痛みを感じやすくなります。また、膿は独特の悪臭を伴うため、口臭も強くなります。
歯茎から膿が出る状態まで進行した場合は、すぐに歯科医院で検査を受け治療に取り掛かりましょう。
いつから手遅れになる?歯周病の進行段階
歯周病の進行段階は、以下の4つのステージに分かれています。
- ステージ1 歯肉炎
- ステージ2 軽度歯周病
- ステージ3 中等度歯周病
- ステージ4 重度歯周病
初期段階のステージ1だと、自覚症状はほとんどありません。ステージ4まで進行するといわゆる手遅れとなり、抜歯が必要になる可能性もあります。
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
ステージ1 歯肉炎
ステージ1の歯肉炎は自覚症状が乏しく、気づきにくいのが特徴です。歯茎がほんのり赤く腫れたり、歯磨き中に少し出血したりといった軽微な症状が現れる程度です。
なお健康な歯茎はピンク色で弾力がありますが、歯肉炎になると赤みが強くなり腫れてふっくらとした見た目になります。
また歯と歯茎の間の隙間である歯周ポケットも、歯肉炎になるとわずかに深くなります。これらの初期症状を見逃すと歯周病が進行するため、早期発見と治療が大切です。
ステージ2 軽度歯周病
ステージ2の軽度歯周病まで進行すると、歯を支えている骨が溶け歯周ポケットも深くなります。歯磨き中の出血や歯が浮いたような感覚のほか、歯茎の痛みやかゆみも生じます。
放置すると歯周ポケットがさらに深くなるため、早期の対策が必要です。歯科医院で歯石を除去し正しい歯磨きを習慣化すれば、歯周病の進行を食い止められるでしょう。
ステージ3 中等度歯周病
軽度歯周病を放置してさらに悪化すると、ステージ3の中等度歯周病へ進行します。
中等度になると歯周ポケットがより深く、歯垢や歯石が溜まりやすくなります。歯茎の腫れや出血のほか、膿が出ることで口臭も強くなりがちです。
また歯を支えている骨が溶けるため、歯がグラグラしたり冷たいものがしみるようになります。歯茎が痩せて歯が長く見えたり、食べ物が挟まりやすくなるのも特徴です。
ステージ4 重度歯周病
ステージ4の重度歯周病は、歯を失うリスクが高い歯周病の最終段階です。歯を支える骨が溶け、歯がぐらつくことで噛む力も弱まります。
歯肉も下がり歯根が見える状態となり、歯肉も赤く腫れあがります。歯を支えている顎の骨が大幅に破壊されており、歯がほとんど骨に支えられていない状態です。
また重度歯周病まで症状が進行すると、入れ歯やインプラントなどの治療が難しくなる可能性もあります。
手遅れになった歯周病の治療方法
重度歯周病の治療は歯垢や歯石を徹底的に除去し、口腔内の環境を改善するプラークコントロールが基本です。
歯周組織の再生を促す治療や、特定の歯周病菌をターゲットとした抗菌療法などを組み合わせ、総合的に治療を進めます。
なお歯周病専門医はできる限り歯を残すことを目標としますが、病状によっては歯を抜歯しインプラントや入れ歯などの治療に移行するケースもあります。
歯周病が手遅れになる前にすべき対処法
歯周病を手遅れな状態まで進行させないためには、毎日の丁寧な歯磨きと定期的な歯科検診が不可欠です。
ただし自宅での歯磨きだけでは、歯と歯の間や歯周ポケットに溜まった汚れを完全に除去できません。
磨き残しが歯石として残ると、歯周病の原因になります。自分では取り除けないため、歯科医院での専門的なクリーニングが必要です。
自覚症状がないまま歯周病を進行させないためにも、定期的に歯科検診を受け早期発見と治療につなげましょう。
歯周病でよくある質問
歯周病でよくある質問を、2つ紹介します。
- 40代の女性は歯周病が手遅れな症状になりやすいのですか?
- 歯周病はうがいで治りますか?
いずれも適切に歯周病を治療するうえで、把握しておきたい内容です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
40代の女性は歯周病が手遅れな症状になりやすいのですか?
40代の女性が歯周病になりやすい原因は、おもに以下の2つです。
原因 |
概要 |
女性ホルモンの影響 |
更年期に向かうにつれて、ホルモンバランスが乱れる |
ライフステージの変化 |
仕事や家庭の両立などでストレスを抱え、免疫力が低下する |
ただし歯周病が手遅れになるかどうかは、症状の進行段階により異なります。
加齢も要因の1つですが、女性ホルモンの影響やライフステージの変化などが原因と考えられるでしょう。
歯周病はうがいで治りますか?
歯周病は、うがいだけでは治りません。うがいは口の中をゆすぐことはできますが、歯垢の中にいる歯周病菌までは届かず、完全に殺菌できないためです。
ただし、うがいは歯周病の予防には役立ちます。歯磨きで取りきれなかった歯垢や食べカスを洗い流すことで、口腔内を清潔に保てるでしょう。
まとめ:歯周病は手遅れになる前に対策しよう
歯周病は初期段階では自覚症状がないため、手遅れになる前に早期発見と治療が大切です。日々の歯磨きを丁寧に実施し、口腔内を清潔に保ちましょう。
ただし歯磨きだけでは、歯垢を完全に除去できません。歯周ポケットで細菌が繁殖すると症状が悪化するため、定期的に歯科医院でチェックしてもらう必要があります。
当院さくら歯科では、24時間いつでもWebで受診予約できます。歯周病が手遅れになる前に、ぜひお気軽にご相談ください。