冷たいものを飲んだときや歯磨きの際に、しみる症状が表れたら知覚過敏かもしれません。虫歯ではないのに歯が痛む症状は、歯の神経が刺激を受けやすくなっている兆候です。
本記事では、知覚過敏のおもな原因や歯科医院での治療方法、自宅でできるセルフケアを解説します。早めの対策を心がけ、症状の悪化を防ぎましょう。
目次
知覚過敏のおもな原因
知覚過敏は、歯の内側にある象牙質が露出し、刺激が神経に伝わることで痛みを引き起こします。
その原因の1つが「歯周病」です。病気の進行によって歯ぐきが後退し、歯の根元が露出すると象牙質が刺激を受けやすくなります。
ほかにも、下記の習慣がエナメル質を削り、象牙質をむき出しにする原因となります。
- 歯ぎしり
- 食いしばり
- 強いブラッシング
近年では、胃酸の逆流や酸性の飲食物で歯が溶ける「酸蝕症」も増加傾向にあり、知覚過敏を悪化させる要因です。知覚過敏を引き起こす原因は、日々の習慣の中に潜んでいることが多いため、早めに気づき、適切なケアを行いましょう。
歯科医院で知覚過敏を治療する方法
歯科医院では、おもに下記の治療で知覚過敏の改善を図ります。
- 治療薬の塗布・コーティング
- レーザー照射
- マウスピース
- 神経を抜く
詳しく解説します。
治療薬の塗布・コーティング
知覚過敏の治療で一般的なのが、象牙質の表面に薬剤を塗布する方法です。歯の内部にある神経への刺激を遮断するために、露出した象牙質の小さな穴(象牙細管)を塞ぐ作用がある薬剤を使用します。
使用される薬剤には、硝酸カリウムや乳酸アルミニウムなどがあり、即効性と安全性の両方に優れているのが特徴です。
また、コーティング材やフッ素を併用すれば、歯の表面を保護する膜が形成され、知覚過敏の症状を緩和する効果が高まります。処置は短時間で済みますが、しみる感覚が強い場合は、数回に分けて治療を行うことも。
症状の程度に応じて継続的なケアが必要なため、歯科医の指示に従って治療を続けることが大切です。
レーザー照射
痛みを抑えながら、知覚過敏の症状を軽減できると注目されている治療法です。露出した象牙質にレーザーを照射することで、象牙質の表面にある象牙細管を閉鎖し、冷たいものやブラッシング時の刺激が神経に伝わらないようにします。
レーザーの熱エネルギーにより歯質が強化されるため、知覚過敏の改善だけでなく、虫歯予防にも効果が期待できます。使用されるレーザー機器によっては、妊娠中の方やペースメーカー使用者にも対応可能です。
痛みや不快感が少なく、治療後も効果が持続しやすいため、従来の治療法に不安を感じている方におすすめです。
マウスピース
歯ぎしりや食いしばりが原因で知覚過敏が起きている場合、マウスピース(ナイトガード)の使用が効果的です。
就寝中は無意識に歯を強く噛みしめる傾向があり、エナメル質の摩耗や歯の亀裂につながる可能性があります。マウスピースを装着すれば、歯と歯の直接的な接触を防ぎ、象牙質の露出を抑えられます。
また、噛み合わせに問題がある場合も、マウスピースの使用がおすすめです。マウスピースで咬合バランスを整えることで、負担を均等に分散し、症状の緩和が期待できます。
市販品もありますが、歯科医院で自分の歯型に合わせて作成すれば、フィット感が高く、効果的に症状を抑えられるでしょう。歯の摩耗や破折の予防にもつながり、長期的な口腔の健康を守るうえでも効果的な治療法です。
神経を抜く
知覚過敏は一過性の痛みで自然に治まることが多く、薬剤の塗布やレーザー治療などで改善が見込めます。しかし、症状が改善されず、痛みが慢性的に続いて日常生活に支障をきたす場合は、抜髄(ばつずい)を選択することも。
抜髄とは、歯の神経を除去する治療法です。この処置は最終手段に位置づけられており、ほかの治療法が効果を発揮しなかった重度のケースに限られます。
神経を抜けば、痛みの根本原因を取り除けますが、歯の内部が空洞になって構造的に脆くなります。そのため、将来的に破折や二次的な処置が必要になるリスクも考えられるでしょう。
歯科医による十分な診察と説明を受け、慎重に判断することが大切です。
知覚過敏の治療にかかる費用
知覚過敏の治療費は、処置の内容や歯の本数、使用する薬剤によって異なります。保険診療(3割負担)の場合、1回あたり約2,000〜3,000円が一般的です。
費用の内訳は、下記のとおりです。
治療の種類 |
費用相場 |
クリーニング・ブラッシング指導 |
約2,000円 |
薬剤の塗布 |
1,000〜3,000円 |
レジン充填 |
約1,000円 |
レーザー照射 |
3,000円~ |
マウスピース (ナイトガード) |
5,000〜10,000円 |
神経を抜く |
3,000~5,000円 |
症状が軽度であれば1~2回の通院で改善するケースも多いですが、重度の場合は複数回の治療が必要です。歯科医院によって費用が異なるため、初診時に見積もりを確認しましょう。
自宅でできる知覚過敏のセルフケア
知覚過敏の症状が軽度の場合は、毎日のホームケアで改善できるケースもあります。ここでは、自宅でできる知覚過敏のセルフケア方法を紹介します。
- 知覚過敏用の歯磨き粉を使う
- 歯ブラシの使い方を見直す
- 食いしばりに気をつける
- 食生活を工夫する
詳しく見ていきましょう。
知覚過敏用の歯磨き粉を使う
知覚過敏に特化した歯磨き粉には、象牙質の小さな穴(象牙細管)を塞ぐ作用のある成分が含まれているのが特徴です。そのため、神経への刺激を遮断する効果が期待できます。
代表的なのは、硝酸カリウムや乳酸アルミニウムで、継続して使うことで徐々に症状が軽減するケースが多くあります。市販品でも選べる種類が多いため、自分に合ったものを見つけましょう。
歯ブラシの仕方を見直す
強すぎるブラッシングは、歯のエナメル質や歯ぐきを傷つけるため、知覚過敏の原因となります。強く磨くのではなく、毛先の柔らかい歯ブラシで優しく小刻みに磨きましょう。時間をかけて丁寧に磨くことで、歯や歯ぐきへの負担を減らしながら、歯垢の除去も行えます。
また、研磨剤入りの歯磨き粉を大量に使うと歯を傷つける可能性があるため、少量で十分です。正しい磨き方が分からない場合は、歯科医院でブラッシング指導を受けるのもよいでしょう。
日々の歯磨き習慣を見直すことで、症状の予防・改善につながります。
食いしばりに気をつける
無意識のうちに行っている食いしばりや歯ぎしりも、知覚過敏の原因となります。強い圧力によって歯がすり減って、象牙質が露出すると刺激に敏感になってしまうためです。
就寝中の歯ぎしりは気づきにくく、症状が進行してしまうケースも多くあります。また、日中のストレスや姿勢の乱れも食いしばりを誘発する場合も。リラックスする時間を意識的に取るのも、食いしばりの予防に役立つでしょう。
食生活を工夫する
酸性の強い飲食物は歯のエナメル質を溶かし、象牙質を露出させる原因になります。具体的には、下記の飲食物が該当します。
- 炭酸飲料
- 柑橘類
- ワイン
- 酢の入った料理
これらの食品を控えるのはもちろん、食後すぐの歯磨きは避け、水で口をゆすぐ習慣をつけましょう。
また、就寝前の酸性飲料の摂取は歯にダメージを与えやすいため注意が必要です。バランスの取れた食生活と酸への対処を行うことで、知覚過敏の予防につながります。
口腔環境を守るためにも、毎日の食習慣を見直しましょう。
歯科医院を受診する目安
知覚過敏は一時的な症状であっても、原因によっては自然に治らないケースもあります。とくに、下記の症状が見られたら、早めの受診を検討しましょう。
- 歯がしみる頻度が増えている
- 痛みが長引く・強くなる
虫歯や歯周病、歯ぎしりなどが隠れている可能性もあります。市販薬やセルフケアで様子を見る場合は、長くても2〜3日が目安です。
原因を正しく見極めて適切な治療を行うことで、知覚過敏の改善を図れます。
症状に合わせた治療とセルフケアで、知覚過敏を改善しよう
知覚過敏は、原因や症状の程度によって適切な対処法が異なります。歯科医院での治療だけでなく、自宅でのブラッシングや食生活の見直しも継続することで、症状の改善が期待できます。
早期対応が重症化の予防につながるため、しみるのは一時的なことと放置しないことが大切です。
また、歯科医院選びに悩んでいる方は「さくら歯科」へお越しください。麻酔の打ち方や温度にも配慮した痛みの少ない治療を行っており、歯医者が苦手な方にも利用されています。
無料カウンセリングも実施しているため、些細な違和感でも気軽にご相談ください。歯がしみる・痛むなどの症状を放置せず、専門のサポートを受けて快適な毎日を取り戻しましょう。