虫歯治療は痛みを伴うのか、不安を感じる方も多いでしょう。現代の歯科医療では、痛みを最小限に抑えるための技術や麻酔法が発展しており、安心して治療を受けられる環境が整っています。
本記事では、虫歯治療が痛い理由や進行度による痛みの違い、痛みを抑える治療法について詳しく解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
虫歯治療は痛いのか?
虫歯治療において、多くの人が痛みを心配するものですが、現代の歯科医療では痛みを最小限に抑える技術が発展しています。
虫歯が進行して神経に近づくと痛みを感じる可能性が高まりますが、治療のときは局所麻酔を使用して患者が不快感を覚えないよう配慮されています。麻酔によって、治療中の痛みをほとんど感じることなく、安心して治療を受けることができます。
また、麻酔を注射するときも、歯科医は痛みを和らげるために細い針を使用したり、注射前に表面麻酔を施すなど、患者の負担を軽減する工夫を行っています。
これにより、麻酔そのものの痛みも極力抑えられるため、治療全体がスムーズに進みます。
虫歯治療が痛い3つの理由
歯科治療において虫歯治療は一番多く行われる治療のひとつですが、多くの人が痛みを感じています。なぜ痛みが発生するのでしょうか。その理由を解説します。
理由①歯の神経を刺激するため
歯の内部には神経があり、虫歯が進行すると神経を刺激することがあります。
そのため、虫歯が進行してしまった場合、治療により神経を取り除く必要があります。神経を取り除くことにより、痛みがなくなるのですが、その治療には痛みが伴うことがあります。
理由②虫歯の進行が進んで神経に影響が出ているため
虫歯は、初期段階では痛みがあまり感じられず、放置してしまうと歯の内部にまで進行して神経に影響が出ることがあります。
進行が激しくなると神経の治療に加えて、根管治療を行う必要があります。根管治療は、神経を取り除いた後に残っている歯の根管内をきれいに掃除し、殺菌し、充填材で詰める治療法です。
この治療法も痛みが伴うことがあります。
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理由③麻酔が不足しているため
虫歯治療の際には麻酔を使います。
麻酔を使用することで、治療による痛みを軽減できます。しかし、麻酔が不足してしまうと、治療中に痛みを感じることがあります。
麻酔が不足する原因は、個人差や痛みの強さにより、必要な麻酔の量が異なることが挙げられます。
虫歯治療は進行度によって痛みが変わる
虫歯の進行度に応じて、治療時の痛みや治療法は大きく異なります。COからC4までの段階ごとに症状や治療法が変わるため、早期の対応が痛みを軽減する鍵となります。
虫歯の進行度と痛みについて詳しく解説します。
関連記事>>虫歯の治療後に患部が痛いのはなぜ?原因と対処法を紹介
C0
COは、虫歯の初期段階でエナメル質の表面に脱灰が見られる状態です。この段階では痛みを感じることはなく、削るような治療は必要ありません。
日々の歯磨きで適切にケアをすれば、虫歯の進行を抑えられます。歯科医院による定期的クリーニング、フッ素の塗布や食生活の見直しで、再石灰化させる努力が必要です。
正しい歯磨きと歯科医の受診で虫歯の進行を防ぎ、健康な歯を維持するよう心がけましょう。
C1(初期虫歯)
C1では、エナメル質内に虫歯の菌が浸透している状態です。この段階でも痛みはほとんど感じませんが、放置すると進行が早まります。
場合によっては虫歯の部分を削り、樹脂で埋める処置が必要になることもあります。ただし、治療時の痛みはそこまで強くなく、麻酔を使わずに治療する場合もあります。
日々のケアを怠るとC2へ進行するため、この段階の治療は将来的な負担を減らす大切なステップだと言えるでしょう。
C2(中期虫歯)
C2は象牙質に虫歯が進行している状態で、冷たいものや甘いものが歯にしみる症状が出始めます。この段階では削る治療が必要となり、場合によっては麻酔を使用する必要があるでしょう。
象牙質はエナメル質に比べて柔らかく、虫歯が進行しやすいため、早急な対応が求められます。治療後は詰め物で補強し、さらなる進行を防ぎます。
痛みを感じ始めるこの段階では、虫歯の発見と早期治療が日常生活の快適さを守るポイントです。
C3(重度虫歯)
C3になると虫歯は歯の神経にまで達し、強い痛みを伴うようになります。この段階では神経を保護することが難しく、根管治療が必要になる場合が多いです。
神経を抜き、感染部分を徹底的に清掃した後、クラウンで補強する治療が一般的と考えられます。痛みが激しいため、ほとんどの人がこの段階で受診を決意しますが、放置するとさらに重い問題を引き起こす可能性があります。
早めに対応することで、他の歯への影響を最小限に抑えることが可能です。放置しないことが重要です。
C4(末期虫歯)
C4は歯の大部分が崩壊し、根だけが残った状態です。この段階では神経が死んでしまっているため痛みを感じませんが、体調を崩したときに急激に腫れや痛みが発生する場合があります。
根の治療が可能であれば処置を施し、クラウンで補強する場合もありますが、多くの場合は抜歯することになるでしょう。この段階に至ると治療回数が増えるだけでなく、抜歯後の対応や周囲の歯への影響も考慮しなければなりません。
定期的な検診を受け、虫歯を早期発見することで深刻な状態になるのを防ぎましょう。
【麻酔編】虫歯の痛みを抑える方法
虫歯の治療で痛みを感じるのは、神経が露出している場合や、歯が弱くなっているために神経に刺激が伝わっている場合です。
しかし、治療中に痛みを感じるのは避けたいところですよね。そこで、痛みを和らげるための麻酔について紹介します。
表面麻酔
治療前に行われる表面麻酔は、治療箇所に局所的に麻酔薬を塗布する方法です。
麻酔薬を直接塗るため注射が不要となり、注射器に対する恐怖心がある方や、痛みを感じるのが不安な方にもおすすめといえます。
ただし、麻酔薬の効果が弱く、長時間治療を行う場合には効果が持続しないことがある点には注意しましょう。
笑気麻酔
笑気麻酔は、患者さんがリラックスした状態で治療を受けられるようにするための方法です。亜酸化窒素と医療用酸素を組み合わせた気体を吸入することで、身体が穏やかな眠りに近い状態になり、痛みや緊張を軽減するのです。
大人だけでなく、治療に対して抵抗感が強いお子さんにも幅広く利用されています。
治療中に吸入する笑気麻酔は安全性が高く、気体の吸入を止めると短時間で麻酔の効果が切れるのが特徴です。そのため、治療後は通常通り自力で帰宅することが可能です。
また、軽度の麻酔効果であるため、意識が完全に失われることはなく、医師と患者が治療中にコミュニケーションを取れる点がメリットです。しかし、鼻で吸入する形式のため、鼻詰まりなどの症状がある場合は効果が十分に得られない点に注意が必要です。
電動麻酔注射
注射器による麻酔は、針の刺さる痛みがあり、注射器自体に不安を感じる人もいます。
そこで、電動麻酔注射を使用することで、従来の注射器に比べて針の刺さる痛みが少なく、注射器自体に不安を感じることが少なくなります。
また、麻酔薬の注入量を正確に調節することができるため、効果が強く持続することが特徴です。
虫歯の治療中に痛みを感じることを避けるためにも、治療前に施術内容や麻酔の種類について歯科医師に相談して、自分に合った麻酔を選ぶことが大切です。
【治療法編】虫歯の痛みを抑える方法
虫歯の治療は、痛みを伴う場合があることがわかりました。しかし、最新の治療法を使えば、痛みを感じずに治療ができるようになっています。
ここで虫歯の治療で痛みを抑える方法について解説します。
ドックスベストセメント
ドックスベストセメントは、虫歯の治療に使われるセメントの一種です。このセメントは、痛みを感じにくいため、治療に不安を感じる人にとっては非常に効果的といえます。
ドックスベストセメントは、虫歯の部分に塗布するだけで簡単に治療ができるだけでなく、セメントが歯に密着するため、治療後の食事にも支障がありません。
カリソルブ治療
カリソルブ治療は、虫歯の進行を止める治療法です。
この治療法は、虫歯の部分に特殊な薬剤を塗り、虫歯を溶かすことで治療します。この治療法は痛みがほとんどなく、治療後にも虫歯が再発しにくいというメリットがあります。
ただし、虫歯の進行が進んでいる場合には、この治療法では虫歯を完全に治すことはできません。そのため、早期発見・早期治療が大切です。
関連記事>>虫歯の進行速度はどのくらい?段階別の症状と治療法も解説
ケスラーズシステム
ケスラーズシステムは、虫歯を治療する方法のひとつです。
この治療法は虫歯の穴を塞ぐ材料を使用します。一般的には金属やプラスチックなどです。
ケスラーズシステムは、虫歯の部分に対して圧力をかけるため、治療中に痛みを感じることがあります。しかし、痛みは短時間で治まる点が特徴です。
レーザー治療
レーザー治療は、虫歯を治療するために最近注目されている治療法のひとつです。
この治療法は、虫歯の部分にレーザーを当てることで虫歯を取り除きます。この治療法は、従来の麻酔やドリルを使った治療に比べて、痛みが少なく、かつ術後の腫れや痛みも少ないため、多くの患者さんに支持されています。
レーザー治療は、虫歯の治療に限らず、歯肉炎の治療や、歯の根管治療、ホワイトニング、口内炎の治療など、さまざまな用途に使われています。
ただし、虫歯の進行が進んでいる場合や虫歯の場所によっては、レーザー治療が適用できないことがあるので注意しましょう。
紹介した治療法によっては、保険適用外となる場合があるので、治療前には必ず医師に確認してください。医師と相談の上、最適な治療法を選択するようにしましょう。
関連記事>>虫歯が痛い原因とは?状態や症状を段階別に徹底解説
虫歯治療の痛みを抑える為のポイント
虫歯治療の痛みを抑えるポイントは2つあります。虫歯の進行度合いに応じて痛みや治療内容が大きく異なるため、日頃から正しいケアをするのはもちろん、医師とのコミュニケーションも大切です。
ここでは、痛みを抑えるための方法について詳しく解説しますので、参考にしてください。
早期発見・早期治療
虫歯は進行するにつれて治療範囲が広がり、痛みを伴う可能性が高くなります。ごく初期の虫歯(C1以下)の段階であれば、治療の際に麻酔を使用せずに済むこともあり、痛みをほとんど感じることなく処置を終えられる場合もあります。
しかし、症状が進行して象牙質や神経に近づくと、治療に伴う痛みや不快感が増すだけでなく、治療回数も増加します。
虫歯が小さい段階で発見されることが理想的ですが、初期の虫歯は自覚症状がほとんどないため、気づきにくいのが現実です。痛みや違和感を感じた場合、すでに進行した虫歯である可能性が高いと言えます。
そのため、「気になる症状がある」という段階で歯科を受診することが、痛みを最小限に抑える第一歩となります。
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治療について医師に相談する
虫歯治療をスムーズに進めるには、事前に医師に治療内容について相談し、不安を解消しておくことが大切です。治療の進め方や麻酔の使用について詳しく説明を受けることで、患者自身も治療に対して安心感を持つことができます。
特に、麻酔を使用した際の痛みの軽減方法や、治療後のケアについて理解しておくことで、治療中に感じるストレスが軽減されるでしょう。
また、患者ごとに虫歯の進行状況や体質が異なるため、自分に合った治療方法を選ぶためにも、医師とのコミュニケーションは欠かせません。小さな疑問でも気軽に相談し、納得のいく治療を進めることで、痛みを抑えながら効率的に虫歯を治療できます。
まとめ
虫歯治療で痛みが発生するのは、神経や歯髄がダメージを受けるためです。
しかし、ドックスベストセメントやカリソルブ治療、ケスラーズシステム、レーザー治療など、さまざまな治療法を選ぶことで痛みを抑えることができます。
虫歯治療を受ける際には、自分に合った治療法を選び、痛みの軽減に努めましょう。
明大前駅のさくら歯科では、患者様の状況に合わせた治療を提案させていただきます。ぜひお気軽にお立ち寄りください。
患者様1人1人に真剣に向き合い、来院して良かったと思われるよう日々治療に励んでいます。
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