虫歯の進行速度は、場所や状態によってことなります。
自覚症状がないうちに進行してしまうこともあるため、定期検診をおすすめします。
今回は、段階別の症状と治療法に加え、虫歯の進行を早めてしまう習慣と抑える習慣について解説します。
虫歯はどのくらいの速さで進行するのか
虫歯は、歯の種類や年齢、生活習慣やケアの仕方によって進行速度が異なります。進行度合いを理解することで対応を早くし、大切な歯を守りましょう。
ここでは、乳歯と永久歯それぞれの進行速度と、進行に影響を与える要素について解説します。
乳歯の場合
乳歯は永久歯と比べて柔らかいため、虫歯が非常に早く進行します。わずか1週間で大きく進行することもあります。 虫歯の進行の速さは、乳歯の構造的な弱さだけでなく、子どもが歯磨きに不慣れであることや、甘いものを好む食生活が影響しています。乳歯が虫歯になった場合は、速やかに歯科を受診することを推奨します。 どうしても受診が難しい場合は、丁寧な歯磨きと甘いものの制限で進行を遅らせる努力が必要です。
永久歯の場合
永久歯は乳歯よりも硬いため、虫歯の進行速度はやや遅くなります。しかし、進行速度は年齢によって異なります。 25歳以下の方の場合、エナメル質が未成熟なため進行が速く、初期段階の虫歯(C1)が中期(C2)になるまでに約半年ほどかかるでしょう。さらに進行すると、神経に達する(C3)までの時間はその倍程度になります。 一方、25歳以上の方ではエナメル質が成熟しているため、進行速度は遅くなり、C1からC2になるまでに半年から1年程度かかるとされています。ただし、C2からC3になる速度は年齢にかかわらず速くなる傾向があり、注意しなければいけません。
虫歯の進行速度に影響を与える3大要素
虫歯の進行速度にはいくつかの要因が影響します。主な3つの要素を以下の表にまとめました。
要因 |
特徴 |
細菌の活動(ミュータンス菌) |
ミュータンス菌は糖質を分解して酸を作り、歯を溶かすことで虫歯を進行させます。この菌の量や活性度が高いと、進行が早まる傾向にあります。 |
食事内容と糖質摂取 |
甘いお菓子や飲料の摂取が多いと、口内環境が酸性になりやすく、歯の再石灰化の時間が減少するため虫歯の進行が加速します。 |
歯の質とケア |
エナメル質の硬さや歯磨き習慣が進行に影響します。特に不十分な歯磨きや不適切なケアが続くと、虫歯が早く進行してしまいます。 |
これらの要素を踏まえ、日頃から適切な歯磨きやバランスの取れた食生活を心がけましょう。虫歯の進行を少しでも抑えられるはずです。
虫歯が疑われる場合は、早期に歯科医師の診察を受けることが最も効果的です。
虫歯の進行度と治療法
虫歯の進行度は、C0からC4の5段階に分類され、それぞれに適した治療法があります。初期段階では痛みや自覚症状がほとんどありませんが、進行するにつれて治療が複雑になり、歯を失うリスクが高まるのです。
ここでは、各段階の特徴と治療法について詳しく説明します。
C0:初期症状の治療
C0は、歯の表面に脱灰(エナメル質が溶け始める)が見られる状態で、虫歯の最初の兆候です。この段階では痛みや不快感はほとんどありませんが、放置すると進行してC1に移行する可能性があると言えるでしょう。
治療法としては、再石灰化を促すためのフッ素塗布が一般的です。また、正しい歯磨きの指導や食生活の改善を行うことで、歯の自然な修復を助けます。
適切なケアを継続することで、この段階で虫歯の進行を防ぐことが可能です。
C1:エナメル質の虫歯の治療
エナメル質の虫歯とは、歯の表面の硬い部分が溶けた状態のことです。
この段階では神経がまだ露出していないため、痛みを感じないことがありますが、放置すると虫歯は進行し、神経に達したり、歯の根に影響を及ぼしたりする可能性があるため、早めの治療が必要です。
エナメル質の虫歯には、まずは保護のためにフッ素塗布などの予防処置を行います。その後、歯の表面を削り、詰め物をする方法があります。
この方法は、虫歯が浅い場合には非常に有効で、治療期間も短く済むことが多いでしょう。
関連記事>>初期虫歯の治療法とは?特徴と症状、早期発見のポイントをチェック
C2:象牙質の虫歯の治療
エナメル質の虫歯が放置されると、歯の内部にある象牙質にも穴が開いてしまいます。
象牙質の虫歯は、エナメル質の虫歯よりも深い部分が溶かされているため、神経にも影響を及ぼす可能性が高くなります。
象牙質の虫歯に対する治療法は、エナメル質の虫歯と同様に詰め物をする方法が一般的ですが、虫歯の進行度に応じて、神経を取り除く根管治療が必要な場合もあります。
虫歯が進行していると感じたら、すぐに歯科医院を受診しましょう。
関連記事>>虫歯の治療後に患部が痛いのはなぜ?原因と対処法を紹介
C3:歯髄に達した虫歯の治療
歯髄に達した虫歯は治療をしないと、歯髄内の組織が死滅し、根の先にある骨や組織にも影響を及ぼします。この状態が進行すると、歯を失うことになります。
歯髄に達した虫歯の治療方法として、根管治療があります。
根管治療は、歯髄内に細菌や死滅した組織を取り除き、その後、根管内を清掃し、充填材を挿入する治療方法です。
麻酔下で行われるため、痛みはほとんどありません。治療期間は1回で終わることもありますが、状態によっては2回以上に分けて治療を行うこともあります。
C4:歯根に達した虫歯の治療
歯根に達した虫歯は、歯髄に達した虫歯よりも深刻な状態です。
歯根に達した虫歯は、歯茎の腫れや痛みなどの症状を引き起こすことがあります。
歯周病の治療に似た方法で、歯周ポケットにある歯石やバイオフィルムを取り除き、歯根表面をきれいにしたあと、歯根面を削り、充填材を挿入する治療方法があります。
歯根に達した虫歯の治療は、根管治療と比較して、より複雑で時間がかかることがあります。また、治療後に痛みを伴うことがあるため、麻酔や痛み止めを使用することがあります。
歯根に達した虫歯は、早期に治療することが重要です。治療が遅れると、歯を失うことになりかねません。
関連記事>>虫歯の根管治療とは?治療の種類や期間、通院回数と流れを確認
虫歯の進行を防ぐことはできるのか
虫歯を進行させないためには予防と早期発見・治療が重要です。
虫歯の進行を速めてしまう習慣・行動
虫歯の進行を早める習慣や行動を以下に挙げます。
甘いものを過剰に摂取する
虫歯の原因のひとつである糖分は、特に甘いものに多く含まれています。糖分を過剰に摂取すると、虫歯を引き起こす細菌が増え、歯に付着したプラークを増やしてしまいます。
適切な歯磨きを怠る
歯に付着したプラークを取り除かないことが、虫歯の原因となります。適切な歯磨きを怠ると、プラークが溜まり、虫歯を引き起こす細菌の数が増えてしまいます。
タバコを吸う
タバコを吸うことで、歯の表面にタールやニコチンが付着し、細菌の繁殖を促進させます。また、歯ぐきの炎症を引き起こすため、歯磨きがしにくくなり、虫歯を進行させる原因になります。
ストレスを抱える
ストレスを抱えることで、唾液の分泌が減少してしまい、口腔内が乾燥し、虫歯を引き起こす細菌の数が増えます。
虫歯の進行を抑える習慣・行動
虫歯の進行を抑えるためには、以下の習慣や行動が重要です。
適切な歯磨きをする
食後や朝晩の歯磨きが基本となりますが、虫歯予防のためには、その方法にも注意が必要です。
まず、歯ブラシは毛先の柔らかいものを選び、3ヶ月に1度程度の頻度で交換しましょう。歯磨き粉はフッ素入りのものを選ぶと虫歯予防に効果的です。
また、歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯の隙間に詰まった食べカスや歯垢を取り除くことも重要です。ただし、歯茎に傷をつける恐れがあるため、使い方には注意しましょう。
関連記事>>歯磨きをしても虫歯になる4つの理由と虫歯を予防するための方法
定期的な歯科検診を受ける
虫歯の進行を抑えるためには、早期発見が非常に重要です。虫歯は初期段階では症状が出にくいため、自覚症状が出るまで進行していることがあります。そのため、虫歯のない人でも定期的な歯科検診を受けることが重要です。
歯科医院での検診では、虫歯の有無だけでなく、歯周病や口内環境のチェックも行われます。定期的な検診を受けることで、早期発見・早期治療が可能になり、虫歯の進行を防ぐことができます。
関連記事>>歯医者の定期健診って行った方がいい?その理由とメリットを知ろう
食事の改善
虫歯は、歯に付着した食物の糖分が口の中で細菌によって酸に変わり、歯を溶かすことで発生します。そのため、食事の改善が虫歯予防には非常に重要です。
砂糖や甘い飲み物を過剰に摂取することは、虫歯の原因となるため、控えるように心がけましょう。また、食後には水を飲むなどのケアをすることで、口の中を清潔に保ち、虫歯の進行を防ぐことができます。
虫歯は早期発見・早期治療が肝心です
虫歯は、早期発見・早期治療が重要です。
定期的な歯科検診を受けることや、適切な歯磨き、食事の改善など、日常的なケアが虫歯予防には欠かせません。
虫歯が進行すると、治療が難しくなり、歯を失うことにつながることもあるため、虫歯予防には積極的に取り組んでいきましょう。
明大前駅のさくら歯科では、虫歯治療はもちろんクリーニングなども行っておりますので、お気軽にご来院ください。
患者様1人1人に真剣に向き合い、来院して良かったと思われるよう日々治療に励んでいます。
また、駅から徒歩1分という立地と、急な歯の痛みによる当日アポも承っておりますので、明大前駅の歯医者ならさくら歯科へご連絡ください。