歯が痛む方に向けて、虫歯は冷やすと良いと言われる理由や、正しい冷やし方についてご紹介します。
虫歯などで歯が痛むと頭痛まで感じてきて、仕事にも集中できない状態になることもあるでしょう。しかし今すぐに歯科医院に行けない…との状態であれば、応急処置として虫歯の患部を冷やすのが大切です。
そこで今回の記事では、虫歯などで歯が痛むときに冷やすと良いと言われる理由や、正しい冷やし方を解説します。冷やす以外に行いたい対処もご紹介しますので、今すぐ歯の痛みをやわらげたいときにぜひ参考にしてください。
目次
歯が痛い場合は温めると良くない理由
虫歯が痛いときには「冷やすのが良い」と言われます。歯が痛いときに温めると良くないのはなぜでしょうか?
主に痛みは、急性のものであれば冷やして炎症を抑え、肩こりなどの慢性的なものなら温める方が楽になると言われています[1]。虫歯の痛みはなぜ温めると良くないのか、理由について見ていきましょう。
血行が良くなるから
虫歯を冷やすのが良いと言われる理由は、温めると血行が良くなるからです。虫歯のような急性の痛みは、局所的に炎症を起こして熱を持っています[1]。そのため温めて血行が良くなるとさらに痛みが増す可能性があります。
血流が良くなると流れる血液により神経が圧迫されがちです。虫歯による痛みを感じている部分は、血流が多くなり神経が圧迫されていることから痛みが感じられます。血流を抑えたほうが神経へと負担がかからず、痛みや炎症が緩和されるでしょう。
そのため温めることだけでなく、運動や入浴、飲酒など、血行が良くなることも控えることをおすすめします。身体が温まると血行が良くなり、急性の痛みは増します。虫歯が痛むときは患部を冷やし、運動などをせずにゆっくりと休んでください。また入浴もシャワーで済ませるなど、なるべく身体を温めない生活をすることが大切です。
歯が痛いときに冷やすのが良い理由
歯が痛いときに冷やすのが良いとされるのは、血行が阻害されて腫れや炎症を抑えられるためです。ケガや虫歯などで炎症が起こるときは、身体の損傷した部分で血管の拡張や血液量の増加が見られ炎症が進行していきます。血管や血液量の変化は、傷ついた部分に対する身体の自然な反応です[2]。
しかし患部周辺での血液量が増加すると、神経を圧迫してさらに痛みが増すことも少なくありません。患部を冷やして血流量を少なくすれば、痛みが緩和されます。
身体が冷えると血管を収縮させる交感神経の働きが高まり、患部に流れる血液量が少なくなります[3]。そのため虫歯が痛むときは冷やして、血流を阻害することで痛みを緩和させる措置がおすすめです。
【関連記事】歯が痛いときに考えられる原因は?すぐにできる対処法と予防法
歯が痛い時の正しい冷やし方
それでは虫歯が痛むときの正しい冷やし方について見ていきましょう。虫歯が痛むときの冷やし方は、ポイントさえ押さえれば難しいことはありません。
【冷やし方】
- 氷をつつむか水で濡らしたタオルを用意する
- 頬の上からから軽く当てる
- 患部が冷えすぎないように注意する
虫歯が痛むときに冷やす方法は、冷たいタオルを頬の上から当てるのが正解です。もし氷がなければ、ドラッグストアなどで販売されている冷却シートを使うのも良いでしょう。
タオルを使う場合でも、患部が冷えすぎないように様子を見ながら当てることが大切です。冷えすぎていると感じたら、もう1枚タオルを重ねたりして、冷え具合を調整するようにしてください。冷え過ぎると患部への刺激が強くなりすぎるため、適度な冷え加減を維持するように心がけます。
【関連記事】虫歯が痛い時の応急処置と注意すべきやってはいけない行動
冷やす際の注意点
痛む虫歯を冷やす際には、冷やし方を知ったうえで次のようなポイントに注意してください。
【注意点】
- 患部を直接冷やさないこと
- うがいで冷たい水を使わないこと
- 氷を直接口の中に含まないこと
正しい冷やし方の項目でも解説しましたが、患部を直接冷やすと冷やし過ぎになる恐れがあります。口の中に氷を含んだり、冷たい水でうがいをしたりなど、患部を直接冷やさないようにすることが最大の注意点です。
虫歯を冷やすときには、あくまでもタオルや頬の皮膚などを緩衝材としましょう。間接的に冷やすようにするのが基本的な注意点となります。
【関連記事】冷たい水がしみる原因は知覚過敏?虫歯や歯周病との違いと予防方法
その他の歯の痛みへの対処法
虫歯が痛むときの対処法は冷やすことだけではありません。痛みが強く我慢できないときは、冷やすとともに次のような対処法を用いて痛みを緩和させてください。そしてなるべく早めに歯科医院を受診してください。
対処法1:鎮痛剤を服用する
鎮痛剤を服用すると虫歯の痛みもやわらぎます。歯科医院で処方された鎮痛剤が理想的ですが、なければドラッグストアや薬局などで市販されている鎮痛剤でも構いません。
ただし虫歯の痛みが強くても、規定量以上の鎮痛剤を飲むことは避けてください。胃への負担が大きくなったり、副作用が生じたりする恐れがあるため規定の量を服用して虫歯の痛みをやわらげましょう。
対処法2:正露丸を詰める
虫歯の穴に正露丸を詰めるのも効果的な対処法です。「正露丸を詰めると歯痛が治る」と言われますが、実際に正露丸の効能欄を見ると「歯痛」と記載されています[4]。
正露丸に配合される「木クレオソート」は、消化器に効くとともに歯科用鎮痛鎮静剤でもあります[5]。正露丸の用法・容量によると、1粒から半粒を虫歯の穴に詰めるとあります[4]。
歯が痛い時の注意点
虫歯などで歯が痛いときは冷やすなどの対処をとりながら、次の3つのポイントに注意しましょう。痛みを緩和させるだけでなく、歯にとってもやさしい方法なので、何らかの原因で歯が痛むようならぜひ試してみてください。
注意点1:患部を刺激しない
まずは患部を刺激しないようにすることが大切です。虫歯などで痛む歯を直接冷やすことも同じですが、患部に強い刺激を与えないようにして安静にすることを意識しましょう。歯ブラシでのブラッシングも極力やさしく行うようにして、患部にはブラシを当てないようにすることがポイントです。
もちろん患部を指で触ることも避けます。指で触れると患部に手の細菌などが付着して、炎症や化膿がひどくなってしまう恐れがあります。患部を刺激せず、なるべくそっとしておくようにしてください。
注意点2:ぬるま湯で優しくうがいする
毎日のうがいはぬるま湯を使って、やさしくすることも注意点のひとつです。虫歯患部を冷やす方法の項目でも解説しましたが、冷たい水でうがいをすると刺激が強くなりすぎます。口内との温度差が少ない、ぬるま湯を使いましょう。
またぬるま湯でも、強くうがいをしすぎることは避けるのが基本です。患部に刺激を与えると痛みが増すこともあります。刺激を与えないようにやさしくうがいをしてください。
注意点3:早めに歯医者に行く
虫歯などで歯が痛むときは、冷やす対処を行いながら早めに歯科医院を受診することが最も重要なことです。冷やしたり鎮痛剤を飲んだり、正露丸を詰めたりして痛みをごまかしていても、歯の痛みが治るわけではありません。治療を先延ばしにしていれば、さらに痛みが悪化していくはずです。
早めに受診すれば重度の虫歯に比べて短期間の治療で済みますし、つらい痛みもなくなります。歯に痛みを感じたら早めに歯科医院を受診して、早い段階で治療を受けましょう。
【関連記事】虫歯・歯髄炎でズキズキと痛むときの原因と4つの応急処置法
虫歯の痛みはまず冷やすことと治療が一番
いかがでしたでしょうか?この記事を読んでいただくことで、虫歯などで歯が痛むときに冷やす方法と理由がご理解いただけたと思います。
歯が痛むときは、腫れや炎症により患部周辺の血流が増加している状態です。血流の増加や血管の拡張は神経への刺激となり、痛みを悪化させる原因となります。そのため血管を収縮させる交感神経を優位にするため、冷やすのが重要です。冷やすときは患部を直接冷やさず、冷たいタオルを頬の上から当てる程度にしましょう。
ただし痛む虫歯を冷やすばかりでは根本的な解決になりません。応急処置として冷やしたり鎮痛剤を飲んだりしながら、なるべく早めに歯科医院を受診して、しっかりと処置を受けるようにしてください。
明大前駅のさくら歯科では、虫歯の一般治療、歯科検診からインプラント、口腔外科まで幅広い治療を行っております。
患者様1人1人に真剣に向き合い、来院して良かったと思われるよう日々治療に励んでいます。
また、駅から徒歩1分という立地と、急な歯の痛みによる当日アポも承っておりますので、明大前駅の歯医者ならさくら歯科へご連絡ください。
[1]参照:国立国際医療研究センター病院:よくある質問
[2]参照:科学技術振興機構:炎症について
[3]参照:JSTAGE:(PDF)冷え性の生理学的メカニズムについて
[4]参照:医薬品医療機器総合機構:正露丸
[5]参照:JSTAGE:(PDF)日局木クレオソート