歯を失った、または一部に欠けや割れたときは、人工歯の埋入も含めていくつかの方法から選択することになります。入れ歯や被せ物などの保険治療が一般的ですが、保険適用外の自費診療も選択肢の一つとして検討するケースが増えてきました。
この記事では、歯全体および歯の一部を失ったときに適用できる方法として「インプラント」と「セラミック」の違いと、費用の目安・治療期間・治療を選択するときのポイントについて紹介します。
歯の状態に応じて治療法が変わる点にも注目しながら違いを比較していきますので、ぜひ参考にしてください。
目次
インプラントとセラミックの違い
「インプラント」とは、日本語で「植え付け」「移植」などの意味をもつ言葉です。
歯科治療におけるインプラントは、歯根まで完全に歯を失った方のために人工の歯根を歯茎の中〜骨までに埋め込み、その上に歯の表面部分を繋げる治療を指します。
「セラミック」とは、日本語で「陶磁器」「陶器の」という意味の言葉です。歯科治療では歯科用陶材のことを指し、虫歯や歯の欠け・割れに対して行う詰め物や、クラウンと呼ばれる被せ物に使う材料を意味します。
インプラントとセラミックはどちらも保険適用外の自費診療(※)で、歯根や歯がどの程度残っているかによって治療の方向性が変わります。どのような治療が適しているのか、歯科医師とよく話し合うことが大切です。
※セラミックを使った材料は、一部が保険適用になります。
インプラントとは
インプラントは、歯根と上部構造をアバットメントという支台で繋ぎ、その上に上部構造と呼ばれる人工歯を被せる治療です。 ここからは、治療のメリットとデメリットをチェックしていきましょう。
関連記事>>インプラントのデメリット・メリットと費用を抑えるための方法
メリット
インプラント治療は、歯を支える歯根部分を歯茎の中に埋め込んで顎の骨と結合させるため、しっかりとものが噛める歯ができあがります。
入れ歯や差し歯はぐらつきや外れるリスクがありますが、インプラントは歯根からしっかりと骨に結合するので、勝手に抜けることはありません。
歯根がしっかりと固定されているほど、その上に繋がるアバットメントや上部構造も安定するので、ものを強く噛んだとしてもぐらつく心配がありません。
さらに、寿命が比較的長いこともインプラント治療のメリットです。差し歯の寿命は約7〜10年ですが、インプラントは約10〜15年といわれています。
デメリット
インプラントのデメリットとしては、保険適用外の治療である点が患者さんにとっては大きなハードルになります。
医療ローンを使って分割払いにする方法もありますが、埋入本数が増えるほど費用の負担も大きくなります。また、骨量が少ない方は骨造成や骨移植が必要になるため、さらに費用と手術の負担がかかります。
関連記事>>インプラントの費用が保険適用になる2つのケースと費用を抑える方法
セラミックとは
セラミックは、インプラントとは異なり詰め物や被せ物に使う材料です。歯根を失っておらず、歯の表面や一部を覆うために使われています。メリット・デメリットについて確認していきましょう。
メリット
セラミックは、天然歯に近い自然な色合い・風合いの素材です。通常の治療では削った部分を銀歯などにしますが、金属特有の色味と光沢感が目立ってしまいます。それに比べてセラミックは、人工歯と気づかれにくい点が大きなメリットです。
1本だけ異様に白い、透明感がないというような浮いた感じがないため、写真や動画を撮影しても自然に歯を出して笑えます。
差し歯のように根元の金属部分が透けて目立つような心配がなく、セラミック特有の性質によって人体との親和性が高く虫歯が発生しにくいというメリットもあります。
デメリット
セラミックのデメリットは、陶材のため噛む力が強すぎると割れてしまうおそれがあります。そのため、力のかかる奥歯ほどセラミックには向いておらず、より耐久性の高い金属が推奨されます。
インプラントほどの高額にはなりませんが、自費診療である点にも注意が必要です。
自然な色合いの歯が手に入る一方で、素材にも寿命があるため、寿命を迎えた歯は新しい素材と交換しなければなりません。
インプラントの人工歯に使われるセラミックの種類
インプラントの人工歯に使われるセラミックには、いくつかの種類があります。どのような種類があるのか、詳しくチェックしていきましょう。
ジルコニアセラミック
ジルコニアセラミックは人工ダイヤモンドともいわれる、高強度のセラミック素材です。なめらかな風合いで汚れが付着しにくく、天然歯のような風合いの歯が手に入ります。
セラミックよりも強度が高いため、噛む力が強い方におすすめの素材です。
オールセラミック
オールセラミックとは、すべてセラミックで造られた被せ物の名称です。金属不使用のため、金属アレルギーの方に適しています。
銀歯のような歯科用金属は特有の光沢感があるため、差し歯などに金属を使うと、歯茎の後退や差し歯自身の経年劣化によって、歯の根元の金属が目立ってくるおそれがあります。一方、オールセラミックは陶材のもつメリットが活かされ、金属の違和感がなく自然な風合いの歯に仕上がります。
ハイブリッドセラミック
ハイブリッドセラミックは、レジン(合成樹脂)とセラミックを混ぜた素材です。セラミックのみの素材よりも自然な仕上がりが期待できるほか、金属が含まれていないため金属アレルギーの方でも利用できます。
CAD/CAMシステムを使って患者さんの歯に合わせて作る素材はCAD/CAM冠と呼ばれ、2024年現在では前歯部分と被せ物(クラウン)にこの素材を使う場合、保険適用の対象になります。※
※参照元:厚生労働省「「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」 等の一部改正について」
メタルボンド
メタルボンドは、金属の上から陶材を焼き付けてつくる被せ物のことです。
中身が金属でできているため、素材としての強度にすぐれている一方で、目に見える部分は天然歯のような仕上がりに。審美性と耐久性にすぐれた素材です。保険適用外のため自費診療の扱いになります。
費用と治療期間の比較
インプラントとセラミックの費用と治療期間を詳しくみていきましょう。
【インプラントとセラミックの費用】
保険適用外のセラミック素材を使う場合は、詰め物で約5〜10万円前後の費用がかかります。 インプラントは1回以上の手術を伴うため、さらに高額であり約30万円〜が目安です。
【インプラントとセラミックの治療期間】
セラミックを使った治療期間は、一般的な詰め物・被せ物にかかる治療と同じです。虫歯を削ったあと、1週間程度で患者さんの歯に合わせた補綴物ができあがるので、それを被せて治療は終了します。
インプラントは「1回法」と「2回法」の2種類があり、1回法はインプラントの埋入手術に1日をかける治療です。2回法はさらにもう1日手術のために日数を要する治療で、どちらも手術の後は患部が治癒するまでに数ヶ月待機します。
インプラント治療をすべて終えるためには、最低でも3ヶ月〜半年、長い場合は1年程度かかります。
関連記事>>インプラントの治療期間とは?治療が長引く要因も解説
インプラントかセラミックか選ぶ際のポイント
インプラントとセラミックを使った治療は、以下に紹介する3つのポイントを参考に選んでみてください。
金属アレルギーの有無
金属アレルギーをもっている方は、アレルギーの程度によっては金属素材を使った治療を避ける必要があります。
ただし、インプラント治療自体は歯根が残っていない方を対象とする治療のため、歯根がなく金属アレルギーの心配のない治療を希望する方は、セラミック治療ではなく入れ歯や差し歯を検討しましょう。
歯根の有無
歯の大部分を失っているものの、歯根が残っている方は差し歯やブリッジが検討できます。
インプラント治療は歯根まですべて失った方の治療ですから、歯根の有無で治療の方向性を決定しましょう。
前歯の治療有無
前歯の治療は、機能性だけではなく審美性も求められます。外から見たときに目立ってしまうので、金属感のある素材は基本的に推奨されていません。
インプラント治療は、歯根〜アバットメントに金属素材を使いますが、上部構造のみセラミックにできます。セラミックでできた歯を被せることで、金属特有の光沢感がない自然な歯ができあがります。
かかりつけ医とよく相談のうえ検討する
今回は、インプラントとセラミックの違いについて、概要や治療の方法、素材ごとの特徴などを詳しく紹介しました。
歯根の有無に合わせて治療を選ぶため、歯根がある方がインプラント治療を希望することは、基本的には推奨されていません。しかしお口の中の状況によっては、自費診療も含めた治療計画を立てていく必要がありますので、信頼できる歯科医院にご相談ください。
明大前駅のさくら歯科では、患者様の状況に合わせた治療を提案させていただきます。ぜひお気軽にお立ち寄りください。
さくら歯科では治療にあたっての不安や疑問に対して丁寧にお答えいたします。ぜひカウンセリングにて、不安に思われていることをご相談ください。
また、駅から徒歩1分という立地と、急な歯の痛みによる当日アポも承っておりますので、明大前駅のインプラント治療ならさくら歯科へご連絡ください。