
初めて歯医者を訪れる際は、心配事や気になることが多いものです。初診の際、いくら持参すればよいのか知りたい方もいるのではないでしょうか。
この記事では、歯医者の初診料の目安や疑問点について解説します。歯医者の初診にいくらかかるか気になる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
歯医者の初診時にかかる費用は3,000~5,000円が目安
健康保険の適用範囲や必要な検査の種類によって異なりますが、歯医者の初診時にかかる費用は一般的に3,000〜5,000円ほどです。
歯医者の治療費は、歯科診療報酬にしたがって算定します。どの歯医者でも同じ計算方法で算出しますが、同じような治療内容でも歯医者によって微妙に金額が変わることがあります。
同じ算定方法でも費用が異なる理由は、歯医者の施設基準や導入している設備などが異なるためです。たとえば、医療安全対策が整備されていると認定された歯医者では、歯科外来診療医療安全対策加算(外安全)と呼ばれる点数が加算されます。
そのほか、レントゲンを撮影する方法にも違いがあり、それぞれ異なる点数基準が設けられています。初めて歯医者を受診する際は、初診料にくわえてレントゲンや検査を行うため、継続して通う際の料金よりも費用が高くなる傾向です。
初診時にかかるおもな費用
初診時にかかる費用の一例を、次の表に示しました。
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歯科診療報酬点数 |
3割負担時の費用 |
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初診料 |
267点 |
801円 |
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外安全1 |
12点 |
36円 |
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外感染1 |
14点 |
42円 |
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パノラマレントゲン(全体) |
402点 |
1206円 |
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口腔内写真撮影 |
10点 |
30円 |
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歯周基本検査(20歯以上) |
200点 |
600円 |
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歯科疾患管理料 |
80点 |
240円 |
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合計 |
985点 |
2955円 |
上記は一例です。歯科医院によって算定する項目が異なるため、おおよその金額ととらえましょう。初期検査だけでなく虫歯治療やクリーニングなどを受ける場合は、さらに1,000〜2,000円ほど料金が上乗せされる場合もあります。
なお、初診料の点数は前回の受診から3ヶ月以上空いた場合にも加算されます。継続して治療を受ける際は、期間を空けないようにしましょう。
自由診療の場合の初診料
歯医者の初診時は3,000〜5,000円ほど持参すれば、基本的に問題ありません。しかし、自由診療の場合は保険が適用されないため、次のような10割負担となります。
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歯科診療報酬点数 |
全額負担の費用 |
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初診料 |
267点 |
2,670円 |
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外安全1 |
12点 |
120円 |
|
外感染1 |
14点 |
140円 |
|
パノラマレントゲン(全体) |
402点 |
4,020円 |
|
口腔内写真撮影 |
10点 |
100円 |
|
歯周基本検査(20歯以上) |
200点 |
2,000円 |
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歯科疾患管理料 |
80点 |
800円 |
|
合計 |
985点 |
9,850円 |
一般的な虫歯や歯周病の治療であれば、健康保険が適用されます。ただし保険証を持参していない場合は、会計時に全額費用を支払う必要があるため、忘れないよう注意しましょう。
自由診療になるケース
保険治療は機能回復がおもな目的であるため、最低限の基準を満たす材料や治療法が選択されます。一方で自由診療とは、保険が適用されない治療のことです。
多くの歯医者では患者のニーズに応じて自由診療を提供しており、保険診療よりも高額になります。歯医者で自由診療が適用されるケースは、次のような場合です。
- インプラント治療
- 矯正治療
- 審美治療(ホワイトニングやセラミックなど)
これらは審美性や機能面の向上を目的とするため、保険診療が認められていません。なお、国が認める疾患に起因する一部のケースのみにおいては、保険適用される場合もあります。
ケース別にみる治療費の目安
歯医者の初診時は、ヒアリングや検査のみで終わる場合が多いですが、治療が行われることもあります。ケース別における治療費の目安は、おおよそ次のとおりです。
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治療内容 |
治療費の目安 |
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虫歯治療 |
1,500~1万5,000円 |
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クリーニング |
1,000~2,500円 |
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矯正治療 |
50万~150万円 |
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インプラント |
30万~50万 |
それぞれ詳しく解説します。
虫歯治療
虫歯の治療費は、虫歯の進行度や治療内容によって大きく異なります。虫歯の進行度合いと費用の目安は、おおよそ次のとおりです。
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虫歯の進行状況 |
歯の状態 |
費用目安(3割負担の場合) |
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初期虫歯 |
歯のエナメル質(表面)のみの虫歯 レジンで修復するケースが多く、1日で治療が終了する |
1,500~3,000円 |
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中程度の虫歯 |
エナメル質の下にある象牙質まで進んだ虫歯 型取りが必要となるため複数回の来院が必要 |
2,000~10,000円 |
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重度の虫歯 |
象牙質より奥まで進み神経まで達した虫歯 歯の土台と被せものが必要になるため、複数回の来院が必要 |
7,000~15,000円 |
なお、上記の費用は保険適用の場合の目安です。保険外の被せものを選ぶ場合は、1本あたり10万円以上かかることもあります。
虫歯は進行するほど治療に時間やコストがかかり、来院の回数も増える傾向です。進行した虫歯ほど、治療費も高くなります。
クリーニング
歯のクリーニングは、保険診療と自由診療の場合で費用が異なります。保険診療の場合は、1回あたり1,000円〜2,500円程度が目安です。
一方で自由診療における歯のクリーニングの費用は、5,000〜2万円程度が目安です。自由診療のクリーニングは、審美的な目的で歯をきれいにすることを目的としています。
歯周病治療や虫歯進行の抑制など、治療が目的であれば保険適用でクリーニングが受けられます。
矯正治療
矯正治療の費用は、使用する装置や処置料によって異なり、目安は次のとおりです。
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矯正治療の種類 |
費用目安 |
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ワイヤー矯正 |
60万~100万円 |
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裏側矯正 |
80万~150万円 |
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マウスピース矯正 |
50万~150万円 |
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小児矯正 |
30万~100万円 |
矯正治療の費用は高額になりやすいため、クレジットカードやデンタルローンを利用できる場合もあります。
インプラント
インプラント治療の費用は、施術を受ける歯医者や使用する素材によって異なりますが、1本あたり30万円〜50万円程度が一般的な相場です。
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インプラント費用の目安 |
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検査費用 |
1.5万~5万円 |
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手術費用 |
15~40万円 |
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人工歯の費用 |
5~20万円 |
なお、インプラント治療は保険適用外ですが、医療費控除の対象です。控除を申請することで、インプラント治療費の負担を軽減できる可能性があります。
歯医者の費用を安く抑える方法
歯科治療の費用は、少しの工夫で安く抑えることが可能です。 ここでは、歯医者の費用を賢く抑えるための4つの方法を紹介します。
- かかりつけ医に相談する
- 治療を途中で中断しない
- 定期検診で早期発見を心がける
- 大学病院は紹介状を持参する
これらのポイントを実践することで、長期的に見て医療費の節約につながります。
かかりつけ医に相談する
特定の歯科医院を「かかりつけ医」として定期的に通うことは、費用を抑えるうえで有効です。
2回目以降の受診では、初診料よりも安い「再診料」が適用されるため、1回あたりの基本料金が安くなります。 また、同じ歯科医師に継続して診てもらうことで、お口の中の小さな変化にも気づいてもらいやすくなります。
過去の治療歴やあなたの歯の特性を理解してくれているため、効率的で無駄のない治療計画を立てることが可能です。
信頼できるかかりつけ医を見つけ、定期的にお口の状態をチェックしてもらうことが、結果的に費用を抑えることにつながります。
治療を途中で中断しない
治療の途中で通院をやめてしまうと、かえって費用が高くつく可能性があります。 痛みがなくなったからといって自己判断で通院をやめると、症状が再発・悪化し、より複雑で高額な治療が必要になることが多いです。
さらに、多くの歯科医院では、最後の受診から3ヶ月以上期間が空くと「初診」扱いとなり、再び初診料がかかってしまいます。 せっかく始めた治療が無駄にならないよう、歯科医師から「治療完了です」と言われるまで、必ず通い続けるようにしましょう。
治療を最後までやり遂げることが、結果的に時間も費用ももっとも節約する方法です。
定期検診で早期発見を心がける
歯科治療費をもっとも効果的に抑える方法は、そもそも大きな治療が必要にならないように「予防」することです。 3ヶ月から6ヶ月に1回程度の定期検診を受けることで、虫歯や歯周病をごく初期の段階で発見できます。
初期の虫歯であれば、歯をほとんど削らずに簡単な処置で済み、1回の通院で治療が終わることも少なくありません。 治療費も数千円程度で済む場合が大半です。
症状が出てから歯科医院に行くのではなく、定期的にチェックを受けることが、医療費の節約につながるもっとも賢い選択といえるでしょう。
大学病院は紹介状を持参する
大学病院や病床数が200床以上の大病院は、高度で専門的な治療を担う医療機関と位置づけられています。 そのため、クリニックからの「紹介状」を持たずに直接受診すると、通常の医療費とは別に「選定療養費」という特別料金を支払わなければなりません。
この選定療養費は、病院によって金額が異なります。 紹介状なしで大病院を受診した場合、初診料に加えて機能分化を推進するための定額負担として、最低5,000円程度が上乗せされることがあります。
まずは近くの歯科医院(かかりつけ医)を受診し、必要に応じて紹介状を書いてもらうのが一般的な流れです。 特別な事情がない限り、いきなり大病院を受診することは、余計な費用負担につながるため避けましょう。
参考資料:厚生労働省「紹介状なしの大病院受診時に係る選定療養について」
歯医者の初診前に確認したいこと
初めて歯科医院を受診する際は、何かと不安がつきものです。 当日に慌てないためにも、事前に持ち物や所要時間などを確認しておくと、心に余裕を持って臨めます。 ここでは、初診前に確認しておきたい3つのポイントを解説します。
- 必ず持参すべきもの
- 持参を推奨するもの
- 初診時にかかる時間の目安
これらの情報を事前に把握し、スムーズな受診につなげましょう。
必ず持参すべきもの
歯医者を受診する際に、忘れてはならないものが2つあります。 それは「健康保険証」と「現金」です。 健康保険証(またはマイナンバーカード)は、保険診療を受けるために必須です。
もし忘れてしまうと、治療費を全額自己負担で支払うことになり、一時的に支払額が3倍以上になってしまいます。 また、支払い方法が現金のみの歯科医院もまだ多いため、現金は必ず用意しておきましょう。
初診では検査や応急処置が行われる可能性を考慮し、1万円ほど持参すると安心です。 この2点は、受診前に必ずカバンに入っているか確認してください。
持参を推奨するもの
必須ではありませんが、持っていくと診療がスムーズに進むものがいくつかあります。 まず「お薬手帳」です。 現在服用している薬がある場合、歯科治療や処方薬に影響することがあるため、歯科医師が安全な治療計画を立てるうえで重要な情報源となります。
可能であれば「他の医院からの紹介状」や「取れてしまった詰め物・被せ物」も持参しましょう。 これらは、現在の状況を正確に伝えるための助けになります。
また、2回目以降の受診の場合は「診察券」を忘れないようにしてください。 これらの持ち物も、準備しておくとより安心して受診できます。
初診時にかかる時間の目安
初診時は、2回目以降の再診時と比べて時間がかかることが一般的です。 おおよその目安として、30分から1時間程度を見ておくとよいでしょう。 時間が長くなる理由は、実際の治療に入る前に、あなたの健康状態やお口の悩みを正確に把握するためのステップが必要だからです。
具体的には、問診票の記入、歯科医師やスタッフによるカウンセリング、お口の中全体の検査、レントゲン撮影などが含まれます。
とくにカウンセリングでは、悩みや治療への希望をじっくり聞く時間を設けている医院が多いため、時間に余裕を持って予約することをおすすめします。 もし急いでいる場合は、予約の際にその旨を伝えておくとスムーズです。
歯医者の初診料に関する質問
歯医者の初診料に関するよくある質問にお答えします。
保険証を忘れた場合はどうする?
保険証をお持ちでいない場合は、当日に全額を負担していただくことになります。歯医者によっても対応は異なりますが、同月内に保険証を持参すれば差額を返金してもらえるケースが一般的です。
しかし月をまたぐ場合は、加入している保険組合に直接申請しなければなりません。市町村や健康組合によって、払い戻しされるまでに3ヶ月程度かかることもあります。保険証を忘れた際は、早めに歯医者へ持参するようにしましょう。
電子マネーやカードは使える?
歯医者での支払い方法は現金払いが一般的です。しかし近年では、クレジットカードやデビットカード、電子マネーなどに対応している歯医者も増えてきています。
ただし、現金以外での決済を受け付けていない場合も多いため、決済方法については事前に確認を取りましょう。
まとめ:不安なことは事前に確認しておきましょう
歯医者の初診料は健康保険の適用範囲や検査内容によって前後しますが、5,000円ほど持参すれば安心です。ただし、当日の治療内容によっても費用は前後するため、心配であれば受診する予定の歯医者に問い合わせておくとよいでしょう。
そのほかにも、不安なことや疑問点があれば事前に確認することをおすすめします。不安を解消し、是非一度さくら歯科までご相談ください。





