「医療費控除」とは、一定以上の医療費を支払った際に確定申告を行うことで、税の免除が受けられる制度です。
虫歯治療やその他の歯科治療も医療費控除の対象になるため、治療費が負担になりすぎないよう、制度の仕組みを知って活用したいところです。
この記事では、医療費控除に関する基礎知識と控除の対象、戻ってくる金額や確定申告の際のポイントについて紹介します。医療費控除について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
医療費控除に関する基礎知識
医療費控除とは、医療費を一定額以上支払った方が確定申告を行うと、「所得税」「復興特別所得税」が戻るという仕組みの制度です。
一例として、2024年の1年間に支払った医療費が一定金額以上の場合に、保険金などで補てんされる金額を差し引いて(保険加入の場合のみ)さらに10万円または所得金額の5%のうち少ないほうの金額を差し引いたものが「医療費控除額」となります。
医療費控除に関する事項を記載するとともに、医療費控除の明細書または医療費通知を確定申告書に添付し、提出します(領収書のみの場合は、領収書の内容を元に医療費控除の明細書を作成して添付)。
医療費控除は病状に応じて一般的に支出される治療費や薬代が対象であり、著しく水準を超える費用は含められません。
また、2017年から10年間にわたって「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」と呼ばれる新たな所得控除制度が適用されています。
参照元:国税庁「医療費を支払ったとき」
インプラント治療は医療費控除の対象
インプラント治療は、保険適用外の自費診療です。虫歯や歯周病、入れ歯などの治療とは異なり、患者さん自身の判断で受ける治療です。
しかし、医療費控除においては各種保険診療と同じように、医療費の総額に含められます。控除を受けるための条件を確認していきましょう。
関連記事:インプラントの費用が保険適用になる2つのケースと費用を抑える方法
控除を受けるための条件
医療費控除を受けるためには、以下の2点を満たしている必要があります。
【控除を受けるための条件】
- 自分または生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費である
- その年の1月1日〜12月31日までのあいだに支払った医療費である
- 支払った医療費の合計が10万円(総所得金額等が200万円未満の場合、総所得金額等の5%)を超えた場合
- 健康保険から支給される高額医療費や民間の生命保険から支払われる保険金の補てん額は支払った医療費の合計から差し引かなければならない
上記を満たした方は、確定申告の際に以下の4点を書類として提出します。
【控除に必要な必要書類】
- 医療費控除の明細書
- 確定申告書
- 医療通知書
- 本人確認書類
確定申告書・本人確認書類と併せて、医療費控除を受けるための書類を2つ添付します。「医療費控除の明細書」は国税庁のホームページからダウンロードできます。
2017年までは領収書の添付が必須でしたが、医療費控除の明細書を正しく記載して提出すれば、1枚ずつ領収書を添付する必要はありません。
「医療通知書(医療費のお知らせ)」は、健康保険組合から送られてくる書類のことです。加入者の氏名や療養を受けた日付、療養を受けた場所などが記載されています。
医療費控除でいくら戻ってくる?
医療費控除を申請すると、どの程度の金額が還付されるのでしょうか。一例として、インプラント治療にかかった費用が30万円だった場合の計算例をみていきましょう。
インプラント治療費30万円の場合
ここでは、所得の合計が300万円で生命保険に加入していない方が、インプラント治療とその他の治療費の合計が30万円だったケースの医療費控除についてみていきましょう。
今回の例では生命保険に加入していないため、保険金で補てんされる金額は0円になります。なので、差し引かれる金額は10万円となり、医療費控除額の合計は20万円になりました。
30(万円)-0(円)-10(万円)=20(万円)
そして、この医療費控除額に所得税率をかけあわせます。所得税率は、2024年1月時点では以下のとおりです。※
【所得税の税率】
課税される所得金額 |
税率 |
控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで |
5% |
0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで |
10% |
97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで |
20% |
427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで |
23% |
636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで |
33% |
1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで |
40% |
2,796,000円 |
40,000,000円 以上 |
45% |
4,796,000円 |
※参照元:国税庁「No.2260 所得税の税率」
年収300万円の方は10%なので、20(万円)×0.1(%)=2(万円)です。合計で2万円の還付が受けられる計算になります。
ただし、生命保険などの民間保険や健康保険から支給される高額医療費を差し引いた額が10万円以下の場合は対象外になります。
関連記事:インプラントのデメリット・メリットと費用を抑えるための方法
インプラント治療の医療費控除を確定申告する場合のポイント
インプラント治療の医療費控除を確定申告する場合のポイントについても確認していきましょう。
ローンやクレジット払いも医療費控除の対象になる
医療費控除は医療費としてかかった費用が対象となるため、ローンやクレジット払いで支払った医療費も含められます。
治療日ではなく支払った日を基準に判断される
医療費控除は、治療した当日ではなく支払いを行った日が基準になります。クレジットカード払いなど、支払い日がずれ込む場合に注意が必要です。
生計を同一とする家族の治療費も医療費控除の対象になる
生計を同じにする家族の病院受診にかかった費用も医療費控除の対象になります。
治療を受けた際の領収書を保管しておく
治療を受けた際、明細書と領収書が発行されることがあります。領収書のみの場合もありますが、医療費控除を受けるために必要な書類のため、5年間は手元に残すようにしてください。
インプラント治療で医療費控除を受ける際の確定申告の方法
次に、インプラント治療で医療費控除を受ける際の確定申告の方法についてみていきましょう。
必要な書類を用意・作成する
確定申告には、以下の書類が必要になります。
【医療費控除に必要な書類】
- 医療費控除の明細書
- 各種領収書(治療費・医薬品の代金・公共交通機関やタクシーの領収書)
- 確定申告書
- 源泉徴収票
- 医療通知書
- 本人確認書類
このうち、領収書は提出の必要がありません。ただし医療費控除を受ける場合は、最低5年分の領収書は手元に残しておきましょう。
確定申告書を提出する
医療費控除に関わる内容も漏れなく記載し、確定申告書を提出しましょう。企業に勤めている方も、医療費控除を受ける際には確定申告が必要になります。
※参照:国税庁|所得税の確定申告
申請書類の提出期限はいつ?
確定申告書の提出は、毎年2月16日から3月15日までの1ヶ月間と決められています。
万が一諸事情によって申告が遅れる場合は、納税についての猶予制度を適用できる場合があります。詳しくは、お住まいの地区を管轄する税務署へお問い合わせください。
インプラントにも医療費控除は適用できる
今回は、医療費控除の内容と戻ってくる金額、必要書類について紹介しました。
医療費控除は年末調整だけで控除ができないため、該当する方がご自身で申請しなければなりません。
医療費控除の対象に含まれる支出をすべて確認・合計し、合計額を計算して必要書類を準備しましょう。記入の仕方がわからなければ、最寄りの税務署で相談できます。
5年以内にインプラント治療を受けたことがある、または今後インプラント治療を受ける予定の方は、医療費控除制度を活用してみてはいかがでしょうか。
明大前駅のさくら歯科では、患者様の状況に合わせた治療を提案させていただきます。ぜひお気軽にお立ち寄りください。
さくら歯科では治療にあたっての不安や疑問に対して丁寧にお答えいたします。ぜひカウンセリングにて、不安に思われていることをご相談ください。
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