虫歯が気になっている方に向けて、自力での虫歯の治し方をご紹介していきます。
鏡を覗き込んで虫歯らしきものが見つかっても、多くの方は「歯医者に行かずに自力で治したい」と思われるのではないでしょうか?虫歯の進行度合いによりますが、歯医者に行かずに虫歯を治す方法はあります。
そこで今回は、虫歯のレベルごとの自然治癒についてと、自力での虫歯の治し方を解説します。歯の自然治癒を促すための4つのポイントもご紹介しますので、初期虫歯の方はぜひ試してみてください。
虫歯は治療なしでどこまで治るか?
虫歯を治療なしで治せる可能性は、虫歯の進行度合いにより変わります。初期虫歯であれば自然治癒で治ることも少なくありません。しかし進行してしまった虫歯は自然治癒では治りません。歯科医院での治療が必要です。
たとえば歯に穴が空いていない初期段階の虫歯なら、多くの場合で経過観察となります。経過観察のうちに、自然に治ってしまうこともあるでしょう。
しかし初期虫歯から進行して、エナメル質に虫歯が広がってしまえば歯科医院での治療が必要です。目安として、虫歯の痛みが感じられるようであれば、歯科医院での治療を受けずに自然治癒される可能性は低いと判断できます。
虫歯を自然治癒させる方法
虫歯を自然治癒させる方法について解説します。しかし大前提として、次のようなケースにあてはまる虫歯である場合のみ、自力にて行う虫歯の治し方が効果的です。まずは次のケースに当てはまっているか、ご自身の虫歯の状態を確認してください。
【自然治癒が期待できる2つのケース】
- 歯の表面が黒くなっていないケース
- 冷たいものがしみないケース
歯の表面が黒くなっていないか、冷たいものがしみないかを確認したうえで、該当するようなら次のような自然治癒方法を試してみましょう。
自力での虫歯の治し方1:唾液の分泌を促す
自力で虫歯を治す治し方の基本となるのが、唾液の分泌を促すことです。唾液には抗菌作用や自浄作用、再石灰化作用があり[1]、唾液の分泌が多いと虫歯によって溶けた歯の自然治癒力が高まります。
唾液の分泌をうながすにはアルコールを控えることが大切です[1]。さらに舌の上下運動や歯ブラシでの舌のブラッシングを行いましょう[2]。唾液が十分に出ていれば、歯の自然治癒力も高まります。
自力での虫歯の治し方2:歯垢をしっかりと除去する
初期虫歯を自力で治すには、歯垢をしっかりと除去することも欠かせません。歯垢の中にはたくさんの細菌がいるので、虫歯の原因となる細菌を減らすために重要なケアです。
歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届きにくく、歯垢が溜まりやすい場所となっています。歯垢は食後8時間で形成され始めるので[1]、食べた後には歯ブラシでのブラッシングに加えて、デンタルフロスや歯間ブラシで歯と歯の間の歯垢を取り除きましょう。
【関連記事】歯磨きをしても虫歯になる4つの理由と虫歯を予防するための方法
虫歯レベルの5段階
虫歯の自力での治し方をご紹介しましたが、あくまでも初期段階の虫歯でのみ適用できる方法です。
虫歯には進行度合いごとに5つの段階があります。C0と呼ばれる初期虫歯であれば歯の再石灰化が自然となされることも少なくありません。しかしC1にまで進行すると歯の表面にあるエナメル質が広い範囲で溶かされます。C1の虫歯では、自力での虫歯の治し方で働きが期待できる可能性は低くなるのが事実です。
それでは虫歯の5つのレベルと、レベルに応じた治療法について見ていきましょう。
C0
C0は虫歯になりたての状態です。歯が黒くなることもなく、見た目にも虫歯だとは気づかれません。歯の表面が白く濁ったようになっていて、溝が薄く茶色くなっているようになります。
歯に穴があいたり痛みを感じたりすることもないため、ご自身で発見することは難しいでしょう。ほとんどの場合、歯科定期検診で発見されます。
治療法
C0の虫歯であれば、治療を行わないことが多くなります。治し方さえ知っていれば自力で虫歯を治せるレベルであるためです。
歯磨きを丁寧にしてもらいながら経過観察をしたり、歯の表面にフッ素を塗布したりして、虫歯の自然治癒を待ちます。
C1
C0の虫歯が進行するとC1になります。C1の虫歯は歯の表面をおおっているエナメル質が蝕まれた状態です。小さな穴が開いていることもありますが、痛みは感じられません。
自覚症状がほとんどないため、C1でもご自身で発見するのは難しいでしょう。ただ早期に治療ができるほど重度の虫歯に比べて短期間の治療で済むため、治療を受けるならC1で受けるのが理想です。
治療法
C1ではコンポジットレジン修復と呼ばれる治療法を採用することがほとんどです。虫歯におかされた部分を少し削り、プラスチック素材の詰め物をセットする治療法となります。
C2
C2はC1の虫歯が進行し、痛みが感じられるようになります。歯にあいた穴も顕著になり、食べ物が詰まることもあるでしょう。冷たいものや甘いものがしみ、口臭が感じられるレベルです。
C2の虫歯はエナメル質の下にある象牙質にまで虫歯が進行した状態なので、自力では治せません。また進行が早いため、できるだけ早めに治療を始めることが望ましいです。
治療法
C2ではC1と同じコンポジットレジン修復、もしくはメタルインレー・メタルクラウン修復と呼ばれる金属を用いた修復が行われます。ただC1より進行しているため、歯を削る量が多くなる傾向です。
C3
C3は神経にまで及んだ虫歯のことです。歯は表面からエナメル質、象牙質の順に並んでいて、象牙質の下には神経が含まれる歯髄があります。歯髄にまで及んだ虫歯は大きな穴があき、ズキズキとした激しい痛みを伴う状態です。
C3にまで進行すると、虫歯ができていることにほとんどの方が気づくはずです。
治療法
C3では「根管治療」と呼ばれる神経をとる治療が必要となることがあります。炎症を起こしている神経を抜き、神経の代わりとなる根幹充填剤を詰めたうえで被せ物をセットする治療法です。ただし状態により、根管治療が不要となる場合もあります。
C4
C4は虫歯の最終段階です。見える部分の歯がほとんど失われて、歯肉の中にある歯の根元だけが残った状態になります。C3と同様に激しい痛みや強い口臭を伴いますが、さらに進行して歯の神経が死んでしまうと痛みが薄れていくことが特徴です。
ただし歯髄の奥の方に膿のかたまりができることがあり、膿がたまることによる痛みが生じる場合もあります。何もしなくても痛み、熱いものや冷たいものがひどくしみる状態です。
治療法
C4では抜歯もしくは根管治療のいずれかが選択されることがほとんどです。歯を残せない場合は抜歯して、入れ歯やブリッジ、インプラントで補います。歯を残せるようなら、C3と同じように根管治療と被せ物による治療が可能です。
【関連記事】虫歯になりやすい歯・虫歯になりやすい場所と効果的な予防方法3選
虫歯の自然治癒を促進させる方法
初期段階の虫歯なら、自力での虫歯の治し方を試したいという方も多いでしょう。歯医者に行かずに虫歯を治す方法を試したい方は、次のような自然治癒を促す4つの方法を実践してみてください。
方法1:定期的に検診にてクリーニングを行う
まずは歯科医院の定期検診にてクリーニングを行うことです。歯のクリーニングでは、日々のブラッシングでは落としきれない歯垢や歯石もきれいに除去します。歯垢1mgの中には、1億個もの細菌がいると言われています[3]。そのため歯垢をきれいに除去できれば、虫歯を進行させる口内の細菌を減らせるはずです。
定期検診では虫歯のチェックも行われるので、自然治癒可能な段階で虫歯を見つけられるようにもなります。
【関連記事】歯医者の歯科検診を大人が受ける場合の頻度と年齢ごとの違い
方法2:フッ素入りの歯磨き粉を使用する
自力での虫歯の治し方を試したいなら、フッ素入りの歯磨き粉を使用することが大切です。フッ素には歯の虫歯への抵抗性を高める作用があります。歯が溶かされることを抑えて歯の再石灰化を促すだけでなく、歯垢の中に取り込まれれば歯を溶かす酸の生成も抑制する物質です[4]。
歯科医院でフッ素を塗布する方法もあります。しかし歯医者に行かずに虫歯を治す方法としては、フッ素入り歯磨き粉の活用がおすすめです。
【関連記事】虫歯は歯磨き粉で予防できる!予防効果の高い選び方の4つのポイント
方法3:キシリトールガムを噛む
キシリトールガムを噛むことも、自力での虫歯の治し方として手軽でしょう。
キシリトールには虫歯予防効果があることが認められています。キシリトールは虫歯の原因菌に分解されません。しかし虫歯菌は一旦キシリトールを体内に取り込み、利用できないため体外へと排出[5]。体内への取り込みと排出にはエネルギーが使われるため、虫歯菌は余分なエネルギーを消費することを繰り返します[5]。
この働きによりキシリトールは虫歯菌の増殖を抑えるのに役立ちます。
方法4:歯磨き後、重曹を溶かした水でうがいをする
フッ素入りの歯磨き粉でブラッシングをした後、重曹水でうがいをするのもおすすめです。重曹は弱アルカリ性であり、歯を溶かす酸を中和する働きがあるとされています。また歯を溶かす作用の高い歯垢を取り除く作用も認められています[6]。
ただし重曹は研磨作用にて歯の表面のツヤを失わせることがあるので[7]、あまり頻繁に行わないようにしてください。濃度も低めが良いでしょう。1%程度の濃度で[7]、回数を抑えて行いましょう。
自力での虫歯の治し方は初期虫歯のみ
いかがでしたでしょうか?この記事を読んでいただくことで、自力での虫歯の治し方がご理解いただけたと思います。
歯医者に行かずに虫歯を治す方法はあります。しかし虫歯が自然治癒されるのは、痛みもなく穴もあいていない初期段階の虫歯に限られるのが事実です。C1まで進行した虫歯は再石灰化が期待できず、歯を削ったり詰め物をしたりする治療が必要となります。
できれば虫歯の治療は受けたくないとの思いは、多くの方が抱いているものではないでしょうか。虫歯の治療を受けず自然治癒させるには、定期検診で歯のクリーニングを受けて虫歯を早期発見することが大切です。そしてフッ素入り歯磨き粉やキシリトール、重曹などで再石灰化を目指しましょう。
明大前駅のさくら歯科では、虫歯の一般治療、歯科検診からインプラント、口腔外科まで幅広い治療を行っております。
患者様1人1人に真剣に向き合い、来院して良かったと思われるよう日々治療に励んでいます。
また、駅から徒歩1分という立地と、急な歯の痛みによる当日アポも承っておりますので、明大前駅の歯医者ならさくら歯科へご連絡ください。
[1]参照:e-ヘルスネット:唾液分泌(だえきぶんぴつ)
[2]参照:JSTAGE:(PDF)舌の上下ブラッシングによる唾液分泌促進効果
[3]参照:e-ヘルスネット:プラーク / 歯垢(ぷらーく)
[4]参照:e-ヘルスネット:フッ化物利用(概論)
[5]参照:e-ヘルスネット:キシリトール(きしりとーる)