歯にできた黒い点が気になる方に向けて、初期虫歯を自然治癒させるための方法とその他の場合の治し方について解説します。
歯に黒い点ができていると、「虫歯なのでは?」と気になることでしょう。しかし歯の黒い点は、必ずしも虫歯とは限りません。神経が死んでいる歯の変色であったり、ステインや歯垢であったりすることもあります。
こちらの記事を読んでいただければ、歯にできた黒い点はどのようなものか、どのように治療させるのか、全体的に理解していただけるはずです。
目次
歯にできる黒い点の原因と治療方法
歯にできる黒い点は初期虫歯のこともあれば、違うこともあります。初期虫歯かもしれない歯にできる黒い点について、まずはできる原因と治し方について見ていきましょう。
虫歯
歯にできる黒い点の原因のひとつが初期虫歯です。初期虫歯は慢性化すると硬くなり、外観的に黒い点に見えるようになることがあります。歯が溶かされる脱灰と、歯を修復する再石灰化が繰り返された状態です。
初期虫歯では痛みが感じられないこともあり、見た目の黒さのみが目立つことがあります。黒い点だけができ痛みがない初期虫歯であれば、自然治癒することも珍しくありません。
しかし表面的には黒い点にみえても、歯の奥で虫歯が進行していることもあります。そのため黒い点ができたような初期虫歯のその後の治し方がどのようなものになるかは、虫歯の進行度合いにより変わるものです。
黒い虫歯の治療方法
黒い虫歯の治療は上記で解説したように、虫歯の進行度合いにより変わります。
進行した虫歯であれば歯を削り、詰め物や金属で補修して治療を行うでしょう。しかし自然治癒が見込める表層のみの初期虫歯なら、削らず再石灰化による自然治癒を期待する場合もあります[1]。
もし歯の奥まで進行した虫歯であれば、虫歯になった部分を削り、詰め物やや被せ物で削ったところを補います。小さな虫歯であれば詰め物をして治療完了です。しかし大きな虫歯であれば、詰め物ではカバーすることが難しくなるので、被せ物を作り削ったところに被せる治療を行います。
もし黒い部分が硬化により自然治癒した初期虫歯であれば、経過観察を行うとともに口内環境の改善を目指す治療を行います。
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黒い歯石
歯の表面にできる黒い点は、黒い歯石であることも考えられます。
黒い歯石とはブラッシングで落としきれなかった汚れが蓄積された歯石の中に、血液がまじり黒く見えるものです。通常であれば歯石は白色をしていますが、血液が交じるため黒く見えるようになります。
黒い歯石は虫歯のように痛みの原因にはなりませんが、歯周病などの口腔疾患の原因となるため除去が必要です。
黒い歯石の治療方法
黒い歯石が付着している場合、歯科医院で歯石除去専用のクリーニングを受けてください。
歯石の除去にはスケーリング・ルートプレーニングと呼ばれる方法で行います。キュレットと呼ばれる器具で黒い歯石を除去していきます。
ただしスケーリング・ルートプレーニングでも除去できない歯石が付着している場合もあります。除去できない場合はフラップ手術と呼ばれる歯肉を切開して歯石を除去する手術が必要となることも考えられます。
神経が死んだ歯
歯にできた黒い点は、自然治癒する虫歯ではなく、神経が死んでしまった歯にできている可能性もあります。神経が死んでしまった歯は黒くなるので、歯の一部分だけではなく、全体が黒い場合は神経が死んでいると考えられるでしょう。
歯に何らかの問題が起きている場合だけでなく、神経をとる治療を行った後に歯が黒ずむこともあります。歯の神経をとると血液による代謝が行われなくなるので、古い物質や血液成分が代謝されません。そのため歯が黒くなるのです。
神経が死んだ歯の治療方法
神経が死んだ歯を治療する場合は、ウォーキングブリーチを施したり、クラウンと呼ばれる被せ物をしたりします。
ウォーキングブリーチとは歯の中にホワイトニング剤を注入することで、着色成分の分解を期待する治療方法です。ホワイトニング剤を注入した上で、セメントで蓋をすることにより歯の着色を改善します。ただし金属の溶け出しにより黒くなっている場合は、ウォーキングブリーチでは対応できません。
そこで金属の溶け出しが原因の場合は、歯を少し削った上で白いクラウン(被せ物)を装着します。つまり白い被せ物を装着することにより、歯を白く見せる治療方法です。 神経が死んだ歯の場合は、以上のような2種類の治療方法で対処します。
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汚れによるもの
歯が黒く見える場合、ステインなどの汚れも考えられる原因のひとつです。コーヒーやワイン、タバコなど、着色作用のあるものをよく摂取している場合は、歯に汚れが付着して黒く見えているだけの場合もあります。
治療方法
汚れで歯が黒く見える場合は、歯科医院で歯のクリーニングやホワイトニング治療を受けてください。歯のクリーニングは付着したステインや歯垢などを全般的に除去する治療方法です。ホワイトニングはジェルの塗布とライトの照射で歯を白くします。
歯にできる黒い点の検査方法
歯にできる黒い点が自然治癒する虫歯であるかどうかは、歯科医院での2つの検査方法で判断できます。
レントゲンを撮る
まずはレントゲンを撮る方法です。レントゲンを撮れば虫歯の深さや状態などを確認できるので、黒い点が初期虫歯であるかどうか判断する方法として有効となります。レントゲンなら虫歯と神経までの距離もはかれるため、その後の治療に有益な結果が得られます。
レントゲン撮影の結果、黒い点が初期虫歯だった場合は、経過観察となることもあるでしょう。
レーザー光で計測する
歯にできた黒い点はレーザー光での計測でも検査できます。
レーザー光で計測すると虫歯の状態だけでなく、脱灰の状態も数値で表されます。レントゲン検査よりも精度の高い結果が得られるため、虫歯の進行度合いだけでなく歯の健康状態を判断するためにも有効なものです。
歯にできる黒い点が初期虫歯だった場合
続いて歯にできた黒い点が、自然治癒する可能性がある初期虫歯だった場合の対処法を見ていきましょう。
初期虫歯であれば、場合によっては歯を削らなくても済むことがあります。次の3つの対処法によって、歯にできた黒い点である初期虫歯は自然治癒することがあるためです。
歯医者でクリーニング
ひとつめの対処法は、歯医者で歯のクリーニングを受けることです。
歯垢は細菌が繁殖して歯に付着するもので、歯垢1mgの中には1億個もの細菌がひそんでいます[2]。そのためクリーニングで歯垢を取り除けば虫歯の原因菌も除去でき、初期虫歯の自然治癒がうながされやすくなるのです。
初期虫歯である黒い点への対処は、まず歯医者でクリーニングを受けることから始めましょう。
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フッ素の歯磨きを使用する
フッ素配合の歯磨き粉を使うことも効果的な対処法です。フッ素は塗布すると、永久歯に対して虫歯を20~30%程度予防する作用があると言われています[3]。
まだ黒い点となっているだけの自然治癒可能な初期虫歯であれば、フッ素の歯磨きを使用しているだけで治ってしまうことも少なくありません。日々のお手入れにフッ素を活用してください。
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ブラッシングを見直す
毎日のブラッシングを見直すことも方法のひとつです。初期虫歯ができたということは、日々のブラッシングが十分に行き届いていない可能性が高いと考えられます。
ブラッシングの方法を見直し、生成される歯垢をきれいに除去できるようにしましょう。クリーニングで歯垢を除去するのと似た作用を与えられ、虫歯の進行を防げるかもしれません。
歯にできた黒い点は自然治癒可能な初期虫歯?まずは歯科医院で検査を
いかがでしたでしょうか?この記事を読んでいただくことで、歯の表面にできた黒い点や初期虫歯の治し方がご理解いただけたと思います。
歯の表面にできた黒い点は虫歯ではなく、歯石やステイン、神経が死んだ歯の変色である可能性もあります。しかし初期虫歯であれば、それ以上の進行を防ぐためにしっかりと対処を行うことが大切です。
初期虫歯の場合はブラッシングの見直しやフッ素の歯磨き粉の使用、クリーニングなどで対応できることもあります。しかし歯の黒い点が初期虫歯であるか、どのような治し方が良いかは歯科医院で検査を受けなければわかりません。
もし歯の表面に黒い気になる点があれば、まずは歯科医院に相談して原因を突き止めることから始めましょう。
明大前駅のさくら歯科では、虫歯の一般治療、歯科検診からインプラント、口腔外科まで幅広い治療を行っております。
患者様1人1人に真剣に向き合い、来院して良かったと思われるよう日々治療に励んでいます。
また、駅から徒歩1分という立地と、急な歯の痛みによる当日アポも承っておりますので、明大前駅の歯医者ならさくら歯科へご連絡ください。
[1]参照:e-ヘルスネット:むし歯の治療の流れ
[2]参照:e-ヘルスネット:プラーク / 歯垢(ぷらーく)