インプラント治療は、歯を完全に失った方のための治療方法です。人工の歯根を埋め込んで、その上に人工歯を建てることで、元の歯と遜色ない自然な歯が使えるようになります。
虫歯やその他の理由で歯をすべて失ってしまっても、インプラントを入れることで再びものが噛めるようになるため、入れ歯や差し歯に代わる治療として注目されています。
この記事では、インプラント治療を受けた後に起きる可能性のあるトラブルについて詳しく紹介します。インプラント治療でどのようなリスクがあるのか、対処するための方法について確認していきましょう。
目次
インプラント治療後に起きるトラブル
インプラント治療の後は、痛み・違和感・骨が溶けるといったトラブルが起こることがあります。それぞれどのような特徴があるのでしょうか。
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噛むと痛い
インプラントを埋入して食べ物を食べているときに、歯とその周辺が痛くなる場合があります。
インプラントを埋め込んだ歯の隣の歯に虫歯や炎症がなければ、インプラントを埋め込んだ歯自身に炎症などのトラブルが起きていると考えられます。骨の状態も確認する必要がありますので、インプラント治療を行った歯科医院で診察を受けましょう。
違和感がある
ぐらつきや浮いた感じ、歯茎への締めつけるような感覚、噛むたびに異音がするといった違和感にも注意しましょう。
原因はさまざまですが、インプラント自身に問題が起きている場合と、歯茎などの歯周組織に問題がある場合に分けられます。新しい歯を入れたことで噛みあわせが変化するようなケースもあります。
骨が溶ける
インプラント治療から数年が経過すると、「インプラント周囲炎」と呼ばれる炎症によって骨が溶けるトラブルのリスクが出てきます。
これは、インプラントと歯茎の間にあるすき間から歯周病菌が入り込み、増殖して炎症を起こすことで、どんどんすき間が深くなり骨まで細菌が達して、骨を溶かしてしまう症状です。
インプラントを埋入した後は、歯根の代わりになるインプラント体と骨がしっかりと結合していなければなりません。
通常の歯根は体から栄養や酸素を受け取って生きていますが、インプラント体は完全な人工物のため、骨と結合したからといって安心せず、歯垢や歯石が溜まらないようにケアを欠かさず行いましょう。
インプラント治療後にトラブルが起こる原因
インプラント治療後にトラブルが起こる原因として、細菌感染・生活習慣・嚙みあわせの3点が挙げられます。
原因①細菌感染
口の中にはたくさんの細菌が棲んでおり、口にしたものをエサにして増殖します。歯磨きやうがいによって清潔にしなければ、感染症のリスクが高まります。
細菌感染はきわめて軽症な状態から始まり、徐々に進行します。気づくのが遅れたり対処をしなかったりすると状態が悪化し、インプラントが脱落するおそれも出てきます。
インプラント周囲炎のような、細菌によって引き起こされるトラブルには注意が必要です。
原因②生活習慣
インプラント治療後のトラブルに繋がる原因として、生活習慣も挙げられます。
食後に歯磨きをしないまま眠る、喫煙習慣、糖質を中心とした食事、睡眠不足による抵抗力の低下などは、いずれもお口の中のトラブルを誘引します。
原因③噛みあわせ
インプラントは天然歯と違い、強い力に弱いという特徴があります。歯ぎしりや噛みしめといった噛みあわせの問題によって、インプラント自身に強い力がかかると、破折やぐらつきの原因になります。
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インプラント治療後に起こったトラブルの対処法
インプラント治療後にトラブルが起こったときは、どのように対処すべきなのでしょうか。4つの対処法について確認していきましょう。
インプラントの周囲に汚れが溜まらないよう優しく磨く
人工歯を埋め込んだ後は「これで虫歯の心配がなくなった」と、安心してケアをおろそかにすることがあります。
しかし、インプラントの周りには生きた歯肉が取り巻いており、インプラントの寿命を長持ちさせるためには、歯だけではなく歯肉の健康も維持していかなければなりません。
インプラントの周りで歯周病菌が増えないよう、お口の中はきれいに保ちましょう。小回りのきく歯ブラシを使い、軽い力で歯と歯のすき間を中心に優しく磨きます。取りきれない汚れは、定期的に歯科医院でクリーニングを受けて取り除いてください。
早めに歯科を受診する
少しでも歯の様子がおかしい、違和感や痛みが出たときは、早めに歯科医院を受診してください。
インプラントを埋め込んだ歯科医院で予約がとれず、すぐに検査が受けられない場合は、自宅から近い場所にあるクリニック(インプラント治療を行っている歯科医院)でも問題ありません。
歯と歯茎のトラブルは早期発見・早期治療が第一です。治療後は顎の骨の状態も定期的に確認する必要がありますので、早めの受診を意識してください。
インプラントに力がかからないようにする
インプラントは天然歯よりも負荷に弱く、力がかかると骨の吸収が通常よりも早まってしまいます。
上部構造やインプラント体が割れる、アバットメントがずれて歯の向きがおかしくなるといったケースにも繋がるため、特定の歯だけに力がかかりすぎないように、嚙みあわせを調節しましょう。
正常な噛みあわせであっても、無意識の癖やお口の中全体のバランスによって、インプラントの歯に力がかかってしまう場合があります。そのようなときはマウスピースを作成・装着することで、負担が軽減できます。
かかりつけの歯科医院に相談し、歯への負担を減らせるような治療を検討してください。
定期検診を忘れずに受ける
インプラントとその周辺の状態は、専門医による定期検診が必要です。インプラントを埋め込んだ歯科医院で、1〜3ヶ月に一度は定期検診を受けましょう。
通常、お口の中の定期検診は1〜2ヶ月に1回の頻度が理想的といわれています。3ヶ月を過ぎると虫歯や歯周病も見逃してしまうおそれがあるため、期間をあけずに定期検診で早期発見・早期治療を行ってください。
インプラント周囲炎の治療方法と費用
ここからは、「インプラント周囲炎」の症状について、軽度〜再手術が必要なケースまで、それぞれの症状の特徴・治療方法・費用について確認していきましょう。
軽度の症状
インプラント周囲炎は、軽度な状態から始まります。インプラントの周りの粘膜に炎症が起きると、歯肉炎やインプラント周囲粘膜炎といった症状が発生し、歯茎の痛みや赤みが目立ってきます。
軽度の状態であれば、まだ歯肉や骨、インプラントに大きな影響はないため、歯周ポケットの掃除を中心に除菌を行っていきます。費用は1部位ごとに2,000円程度(保険適用3割負担の場合)ですが、ここに初診料や再診療、他の歯へのクリーニング料金が含まれます。
中度~重度の症状
中度から重度にかけては、激しい炎症が起こり痛みも強くなっていきます。抗生物質を服用して細菌の繁殖を抑えながら、歯垢と歯石を除去します。範囲が広い場合は1回だけではなく2回に分けてクリーニング作業を行わなければなりません。
歯周ポケットの中をきれいに掃除し、インプラントの周りまで歯石が溜まっているようであれば、歯肉を切り開いてクリーニングを行います。抗生物質の服用だけではなく、薬剤を歯肉の中に直接注入して殺菌します。
歯茎の中に肉芽ができている場合は除去し、歯茎を閉鎖して経過観察を行います。
再手術が必要な症状
すでに骨が溶けてしまいインプラントに動揺がみられる場合は再手術が必要です。
インプラント自身を一度取り除き、歯周ポケットからインプラント体まできれいに汚れを取り除いて殺菌します。治療後に患部が治癒したことを確認してから、再度インプラントを埋め込むか否か(入れ歯などの治療も含めて)検討します。
再手術については、お口の中の状態や患者さんの年齢、既往症や全身の疾患についても見極める必要があります。例えば、インプラント治療を受けてから10年以上経過している方については、年齢や体への負担も考えたうえで、再治療を計画する必要があるでしょう。
インプラント治療後のトラブルには要注意
今回は、インプラントの治療後に起きるトラブルとその原因・予防法・軽度から再手術までの症状について紹介しました。
インプラントは天然歯のようにしっかりとものが噛める歯を埋入できる治療です。しかし、治療後にメンテナンスやケアを怠ってしまうと、せっかくのインプラントが細菌に汚染されるなどして、お口のトラブルの原因になってしまいます。
インプラント治療医やかかりつけ医を中心に、定期的な検診でトラブルを予防していきましょう。
明大前駅のさくら歯科では、患者様の状況に合わせた治療を提案させていただきます。ぜひお気軽にお立ち寄りください。
さくら歯科では治療にあたっての不安や疑問に対して丁寧にお答えいたします。ぜひカウンセリングにて、不安に思われていることをご相談ください。
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