虫歯の治療が完了した直後でも、冷たいものや甘いものに反応し、歯がしみる症状が出る場合があります。しみる原因は、神経の過敏状態や詰め物の影響などさまざまです。
本記事では、虫歯治療後に歯がしみる原因と対処法、歯科医院を受診する目安を解説します。違和感があるけど、どう対応したらよいか分からない方は、参考にしてください。
虫歯の治療後に歯がしみる原因
虫歯治療後のしみる・痛むなどの症状は、多くの方が経験する一時的な違和感です。おもな原因は、下記のとおりです。
- 治療後の歯の神経が炎症を起こしている
- 治療による神経への刺激が残っている
- 詰め物・被せ物の高さが合っていない
- 金属製の詰め物を通して神経に温度が伝わりやすくなっている
- 接着剤・薬剤の影響で歯がしみる
詳しく解説します。
治療後の歯の神経が炎症を起こしている
虫歯を削ったときの刺激で歯の神経が炎症を起こし、過敏な状態になっている場合があります。とくに、虫歯が神経に近い位置まで進行していた場合、治療によって神経が直接的な影響を受けやすくなります。
このような場合、一時的に冷たい飲食物に反応してしみる症状が現れるのが特徴です。
しかし、多くの場合、神経の働きを保ちつつ、歯の内部に新たな象牙質(第三象牙質)が形成されることで、知覚が鈍くなり自然に改善していきます。
治療による神経への刺激が残っている
神経は敏感な組織のため、わずかな刺激でも一時的にしみる症状が出る可能性があります。虫歯が深部まで進行していたケースでは、神経との距離が近いため影響を受けやすくなるでしょう。
そのため、虫歯治療の際に、器具で歯を削るときの振動や熱が神経にまで伝わることがあります。
治療後数日〜1週間ほど軽い痛みや違和感が残りますが、通常は時間の経過とともに落ち着いていきます。
詰め物・被せ物の高さが合っていない
虫歯治療後に装着する詰め物や被せ物の高さが合っていないと、噛み合わせにズレが生じ、しみるような症状や痛みが出ます。詰め物がわずかに高いだけでも、噛む力が1点に集中するため、神経に負担がかかります。
この状態が続くと、歯根膜が刺激を受けて炎症を起こすことも少なくありません。治療後に噛みづらさや違和感がある場合は、歯科医院で再調整してもらうことが大切です。
金属製の詰め物を通して神経に温度が伝わりやすくなっている
神経に近い部分に金属の詰め物が装着されていると、わずかな温度変化にも過敏に反応し、強いしみが出る場合があります。金属製の詰め物(インレーやクラウン)は、熱伝導性が高く、冷たいものや熱いものの温度が神経まで直接伝わりやすくなります。
これは金属の性質が原因であるため、レジンやセラミックなどの熱伝導率の低い素材に変更するとよいでしょう。
接着剤・薬剤の影響で歯がしみる
虫歯の治療では、詰め物や被せ物を固定するために接着剤や薬剤を使用します。これらの材料が歯質を通過して神経に微細な刺激を与えると、治療後に一時的なしみが発生する可能性があります。
とくに、神経の近くまで歯を削った場合は、薬剤の熱や成分が神経に影響を及ぼしかねません。多くの場合は自然におさまりますが、痛みが強い、あるいは長く続く場合は材料の見直しや、別の処置を検討する必要があります。
虫歯の治療後に歯がしみる症状はいつまで続く?
虫歯治療が終わったあとも歯がしみると、「このまま治らなかったらどうしよう…」と、不安になる方も多いでしょう。ここでは、症状が落ち着くまでの目安と、歯科医院を受診する目安を解説します。
約1~2週間で症状落ち着くケースが大半
虫歯の治療後に歯がしみるのは、治療の際に神経付近まで削ったことで起こる一時的な刺激や、神経が過敏になっていることが原因です。
そのため、多くの場合、約1〜2週間ほどで自然に落ち着きます。
この期間に、歯の内部では新しい象牙質(第二象牙質や第三象牙質)が形成され、神経を保護することで徐々にしみる感覚が和らいでいきます。症状が軽くなっていく場合は、特別な処置をしなくても自然治癒する可能性が高いでしょう。
そのため、あわてて歯科医院に行かず、様子を見ても問題ありません。
歯科医院を受診する目安
しみる症状が1〜2週間以上続く、あるいは日ごとに痛みが強くなっている場合は、放置せず歯科医院を受診しましょう。
冷たいものだけでなく温かい飲み物でもしみるようになったり、治療した歯の歯茎が腫れたりする場合は、神経に炎症が起きている可能性があります。噛んだときに痛みを感じたり、詰め物が高く感じたりするなどの違和感がある場合も要注意です。
しみる症状が自然に改善しないと感じたときは、早めに受診しましょう。
虫歯治療後のしみる症状を和らげる方法
虫歯治療後にしみる場合、軽度であれば自宅で症状を緩和できます。具体的な方法は、下記のとおりです。
- 刺激の強い飲食物を避ける
- マウスピースを使用する
- 噛み合わせに注意する
- 患部周辺を冷やす
- 激しい運動・入浴を控える
- 市販の痛み止めを使用する際の注意点
詳しく見ていきましょう。
刺激の強い飲食物を避ける
治療後の歯は一時的に神経が敏感な状態になっているため、刺激の強い飲食物は症状を悪化させる原因になります。下記の食品は、避けるのが賢明です。
- 冷たいアイス
- 熱いスープ
- 炭酸飲料
- 酸味の強い柑橘類
- 甘いチョコレート
これらの食べ物は、神経にダイレクトに刺激を伝えるため、痛みが増す可能性があります。食事の際は、常温に近い飲食物を選び、治療した歯で無理に噛まないように気をつけましょう。
マウスピースを使用する
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、無意識のうちに治療した歯に強い力をかけてしまい、しみる症状を悪化させる可能性があります。力の負担を軽減するためには、マウスピースの使用が効果的です。
市販のマウスピースもありますが、歯科医院で自分の歯に合うマウスピースを作ってもらえば、高い保護力と快適な装着感が得られます。とくに、就寝中の歯ぎしり対策に最適です。
噛み合わせに注意する
食事の際に片側ばかりで噛んでいる、物を噛むときに違和感がある場合は、早めに歯科医院で噛み合わせを確認してもらいましょう。
治療後の詰め物や被せ物の高さが合っていないと、噛み合わせが悪くなり、治療した歯に過剰な負荷がかかることがあり、放置すると歯根膜炎などを引き起こすリスクも生じます。そのため、違和感は見逃さないことが大切です。
患部周辺を冷やす
しみる症状が強い場合は、患部の外側から頬を軽く冷やすことで痛みの緩和が期待できます。冷たいタオルや保冷剤をハンカチで包み、頬に数分間当てるのが効果的です。
ただし、冷たい飲み物や氷を直接口に含むのは、神経に強い刺激を与える可能性があるため避けましょう。冷却は、外から優しく行うのがポイントです。
炎症や腫れがあるときも、冷やすことで症状の悪化を防げます。
激しい運動・入浴を控える
虫歯治療後は、歯の神経や周囲の組織が炎症を起こしている場合があります。このとき血行がよくなると、炎症が悪化し、しみる症状が強まる可能性があります。
そのため、下記のような血流を促進する行動は、症状が落ち着くまでは控えましょう。
- 激しい運動
- 長時間の入浴
- 飲酒
湯船に浸かる場合は、短時間のぬるま湯にとどめるのがおすすめです。安静に過ごすことで炎症がおさまり、痛みや違和感が軽減されやすくなります。
市販の痛み止めを使用する際の注意点
痛みが気になる場合は、市販の鎮痛剤で一時的にしみる症状を和らげることが可能です。ただし、使用する際は必ず用法・用量を守りましょう。
症状が長引く場合には自己判断で薬を飲み続けず、歯科医院を受診してください。痛み止めでごまかすのではなく、根本原因の確認を行うことが大切です。
歯のしみる症状を防ぐために、早めの対応を心がけよう
虫歯治療後のしみる症状は、軽度であれば自然におさまるケースが大半です。しかし、違和感が続く場合は、早めに歯科医院で診察を受けましょう。
明大前駅すぐの「さくら歯科」では、症状や生活習慣まで丁寧にヒアリングし、個々に合った治療を提案しています。痛みだけでなく、不安や疑問にも寄り添う診療体制を整えています。
「まずは話を聞いてみたい」という方も、相談だけでも気軽にお越しください。